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『インディ・ジョーンズ』の売上はどこに消えた?

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 先週の映画興行ランキング1位だった『ザ・マジックアワー』。6月14・15日の2日間で3.7億円を稼ぎ、引き続き好調を維持している。しかし、この週末に全国でもっとも興収を稼いだ映画は『ザ・マジックアワー』ではないという事実をご存知だろうか?

 実はこの両日は『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の先行上映が行われ、2日間で興収6億円、実に『ザ・マジックアワー』の160%に相当する売上を記録しているのだ。

 だが、『インディ・ジョーンズ』はランキングには登場しなかった。興行が行われ、巨額の売上を記録しているにも関わらず、「公開中」ではないという不思議な状態である。 となると、この2日間の興収はどこに消えるのか?

 映画に限らず、音楽や本の売り上げ、TVの視聴率など、今、世の中の人気の重大な指標は「ランキング」であるのは言うまでもない。ランキングで1位になることにより、「もっともヒットしている映画」として認識され、流行を追いかける人々の動員がさらに見込めるようになる。当然、映画の世界でも、話題作であればあるほど映画会社は「ランキング1位」を狙ってくる。そして、ある程度の条件が揃えば、新作映画を確実に1位デビューさせる裏技があるのだ。

 ここで、先の疑問の答えである。通常、先行上映の数字は、封切りの週末の成績に上乗せされて発表される。例えば、『インディ・ジョーンズ』が、封切りの6月21日と翌22日の週末2日間で、興収8億円を稼いだとする。すると映画会社は、これに先行上映で貯金した6億円を上乗せして、興収14億円と発表するのである。そうすれば、公開週のランキングで1位になることはまず間違いない。そんなカラクリが、映画業界では公然とまかり通っているのである。もちろん、どんな映画でもこの技が使えるわけではない。それなりの大作であること、公開規模が大きいこと、そして、アメリカでの公開が済んでいることが条件だ。

 その昔、先行上映と言えば、封切り前週の土曜夜9時頃からスタートし、早朝まで3回ほど上映する「先行オールナイト」という興行形態が一般的だった。その映画をどうしても早く見たい観客が、何時間も並んで、超満員の深夜の映画館で見るイベント興行という趣があった。

 しかし今では、先行上映は前週の土日2日間、場合によっては3日間、しかも日中から上映を開始するのが当たり前になってしまい、映画ファンにとってのイベント感はすっかり薄れてしまった。先行上映は、映画会社がランキングの1位を確保するための貯金興行になり下がってしまったというのが実情なのである。(eiga.com編集長・駒井尚文)

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最終更新:2008/06/26 13:27
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