サイゾースタッフ
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※=外部スタッフ
藤原紀香の「顔」は誰のもの!? "音事協"に聞く肖像権の行方(前編)
* * *
一般人にはなじみが薄いかもしれないが、マスコミや中小の出版社にとって無視できない団体がある。社団法人日本音楽事業者協会、通称「音事協」だ。音事協とは、芸能プロダクションの業界団体で、バーニングプロダクション、ホリプロ、ワタナベエンターテインメント、吉本興業といった大手から、タレントが数名しかいないような中小の芸能プロまで、100社以上が加盟している(ジャニーズ事務所は加盟していない)。
1963年に音事協が設立された目的は、タレントやプロダクションの各種の権利確立や保全を行い、芸能ビジネスの環境を改善し、それを通して社会貢献をしていこうというもの。その一環として、メディアによるタレントの名誉毀損行為などには、協会が主導となって民事訴訟のみならず、刑事での告訴や告発も辞さないという厳しい対応をしてきた。
そんな音事協が、昨今特に注力しているのが「肖像権」に関する活動だ。
肖像権とは、簡単にいえば、肖像が無断で撮影されたり、肖像本人の精神的苦痛をもたらすような態様で使用されないためのプライバシー権と、タレントなど有名人の肖像から生じる経済的価値を独占できるパブリシティ権から構成される。後者のパブリシティ権を侵害すること、つまり、タレントの顔や似顔絵を、第三者が勝手に商業目的で利用すると、肖像パブリシティ権侵害という不法行為となる。また、肖像だけではなく、氏名にも経済的価値は生じるため、それらを保護する権利を包括して肖像パブリシティ権ともいう。肖像権は有名人だけが有するものではなく、すべての人が勝手に肖像を撮影、描写、公開されない権利を持っているが、これは肖像権のうちでも人格権に属する部分だ。
音事協は、特に雑誌メディアによる肖像(パブリシティ)権侵害に目を光らせてきた。有名なところでは、コアマガジンの雑誌「ブブカスペシャル7」(02年6月発売)が、藤原紀香や優香、モーニング娘。などのタレントの通学中や幼児期の写真などを掲載したことを問題視し、プライバシー権だけではなく肖像パブリシティ権も侵害していると、音事協が主導して、原告となるタレントたちを取りまとめて、損害賠償請求訴訟を起こしている。
この裁判は、今年10月に最高裁がコアマガジン側の上告を棄却し、プライバシー権と肖像パブリシティ権の侵害を認め、同社に約850万円の賠償を命じた高裁判決が確定した。出版における肖像パブリシティ権侵害が認められた初めてのケースとして、芸能界、出版界では大きな注目を浴びることになったのだ。
と同時に、メディア側が音事協の動きに戦々恐々とすることにもなった。音事協から肖像権侵害の抗議を受けたある出版社は、訴えられたら大変だと雑誌の休刊を決断し、別のある出版社は、音事協傘下のタレントの肖像を使用しないことを誓約したという。こうした状況に対して、「メディア規制だ」と懸念を表明する向きもある。
かくも出版社側を突き動かし、表現活動に影響を与える肖像権と、それに対する音事協のスタンスとはどのようなものなのか? 本誌、いやネットの普及で容易にメディアを持てるようになった一般人にとっても、明日は我が身ともいえる問題なのではないか? それらを解明すべく、音事協のマスコミ委員会担当理事で、ホリ・エージェンシー代表取締役社長の小野田丈士氏に話を聞いた。
●肖像権遵守を誓約する協定書を結んでいる
──まず、音事協が、肖像権問題に取り組むようになったきかっけを教えてください。
【音事協(以下、音)】 そもそも、名誉毀損によるタレントの人格権の侵害に対しては、音事協は設立当初から厳しい姿勢を取ってきました。メディアには「これは名誉毀損ではないか?」と、音事協として抗議をしたり、抗議書を送ったりしていた。中傷記事を書かれたタレント個人やプロダクションだけで行動しても、メディアとの力関係では勝てない場合が多いんです。たとえば、小規模のプロダクションが大手出版社に抗議をしたことで、同社の出版物すべてにおいて、そのプロダクションのタレントを使ってもらえなくなるなんてことがありえる。それを危惧して、泣き寝入りするプロダクションがあってはいけないと、音事協がメディアとの交渉窓口になることがあるわけです。そのように名誉毀損への対応をしている中で、記事中に使われている写真についても、これは権利を侵害されているのではないか? という話が出てきた。国内の判例では、76年にマーク・レスター事件の裁判がありました。マーク・レスターという役者が、自身の氏名と肖像を無断で宣伝に利用した製菓会社を訴えて、判決では、有名人の氏名・肖像には、集客力・顧客吸引力を有する財産的価値があると認められたわけです。その頃から、音事協としては、啓蒙活動を強化していますね。01年頃からは、消費者に対しても、広告を打ったり、セミナーを開催したりするなどして、肖像権啓蒙キャンペーンを行っています。
(中編に続く/編集部/「サイゾー」1月号より)
お宝雑誌の明日はどっちだ!?
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