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TBS「ヌードで学校」寄付を拒否され宙に浮いた1,200万円の行方

wakatsukiauction.jpgTシャツや特典の「生写真」の多くはネットオー
クションで転売された

テレビで話題のトピックを複眼的な視点で読むメディア・ウォッチャー今一生が、「こいつはギモンだ!」ともの申したのは……。

 タレントの若槻千夏は『悪魔の契約にサイン』(TBS)というテレビ番組の企画で「インドに学校を建てる」ためにセミヌードになってTシャツを販売した。

 だが、2月18日の最終回の放送直後、TBSは寄付先だった社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」から「この募金活動のサポートを辞退したい」と告げられたことを番組ホームページで発表した。

 つまり、一部が寄付に回されるはずのTシャツの売上総額1,200万円(2月23日時点)という大金が宙に浮いてしまったのだ。

 このプロジェクトには放送時から多くの疑問があったことは以前の記事に書いたが、TBSとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの両者にコメントを求めたところ、以下の回答があった。

 まず、TBSに事情を問うと、「『社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン』さまからは、諸般の事情ということしか伺っておりません。突然の受け入れご辞退ということで驚いておりますが、善意の募金がインドでの学校建設に生かされるよう引き続き、弊社内に責任者を置いて、新しい方法を速やかに決定するよう努めてまいります。また、進捗状況については、番組サイトを延長する形で順次開示していくことにしております」(広報IRセンター)。

 一方、寄付を辞退したセーブ・ザ・チルドレンは、「当団体は、当団体の趣旨等諸般の事情に照らし、今般のTBS様からの寄付の御申し出をお受けする事を辞退させて頂きました。今回のご寄付は、TBS様の番組企画として御申し出頂いたものであり、これ以上のお答えは致しかねます」というものだった。

「当団体の趣旨」とは、「国連の『子どもの権利条約』を理念とし、世界の子どもたちとその家族、周囲の環境をよりよいものに改善するため、精力的に活動」(団体サイトより)することだ。

「世界の子ども」にとって「セミヌード」による資金調達は、国際的な世論から好ましく受け取られなかったのだろう。

 この「寄付拒否」を受けて、当初はこのチャリティ企画に対して好意的だったネット上のコミュニティでも、TBSに対する疑問の声が日増しに高まってきているのが現状だ。

 3月26日現在、チャリティが寄付先に断られた事実を発表した2月18日からすでに1ヶ月以上が経っているが、TBSは番組ホームページで新着情報を発表していない。

 そもそも「なぜインドに学校を日本人が新たに建てる必要があるのかについて、TBSは放送でもホームページでも明らかにしていない。それどころか、いつインドのどこにどんな規模の学校を建てるのか、建設後の運営維持費を毎年誰が賄うのか、寄付されるはずの1,200万円の「一部」とは実際はいくらなのかについても、一切公表していない。

 一方、インドでは国政レベルで2010年までに「6歳から14歳までの子どもの100%就学」が計画されており、世界銀行のグループ機関で最も貧しい国々を支援している国際開発協会(IDA)から無利子の支援金を取り付けている。「貧しい子どもたちのために」という当初の願いは、TBSが動かなくても果たされることが決まっているのだ。

 それでも学校を新設したいなら、卒業資格が公的には認められない私塾になる。「むしろ校舎があっても通えない児童を支援したほうがいい」という声もある。

 日本に住むインド人の男性は、「地方の農村に教室1室・教員控室・トイレ程度の小さな校舎を作るなら、土地代を除けば100万円でもできる。でも、女性のヌードで建てた学校だなんて知ったら誰も通わない」と語った。

 1ヶ月以上も大金を遊ばせておくという事態を見れば、TBSの 「情報開示基本方針」は事実上、破綻しているといえよう。では、事態の収拾はいつになるのか?

TBSのIR情報のサイトには昨年末までの短期決算が4半期ごとに報告されているが、今年の収支については5月まで発表を待たなければならない。次の決算発表対象期間である今年1月から3月末までの収支は、今月中に会計処理されるはずだ。

 ということは、TBSは、不明瞭なチャリティの収益について3月いっぱいまでに自らの事業収入として計上するか、預かり金として処理するのかを判断することになる。つまり、遅くとも会計処理が終わっている4月上旬には、何らかの打開策を発表できるはずなのだ。

 公共の電波を使って善意のお金を集めた以上、若槻千夏を「脱ぎ損」にしないためにも、一刻も早く収支報告を明示し、私たち視聴者を安心させてほしい。それが、国際協力NGOからの信用を失ったテレビ局が果たすべき最低限度の説明責任だろう。
(文=今一生)

●今一生(こん・いっしょう)
ライター・編集者。1997年「CreateMedia」名義で編集した『日本一醜い親への手紙』がベストセラーに。’99年に発表した『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)、『プライドワーク』(春秋社)など多数。「放送文化」でドキュメント番組批評を連載中。
http://www.createmedia.co.jp

TBS「報道テロ」全記録

「反日放送局の事業免許取り消しを! 」だそうです。

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最終更新:2009/03/27 08:00
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