日刊サイゾー トップ > カルチャー  > ハリウッドでリメイクも決定! 恐怖の殺人鬼を追うサスペンス『チェイサー』

ハリウッドでリメイクも決定! 恐怖の殺人鬼を追うサスペンス『チェイサー』

chaser_0528.jpg(C) 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.

 韓流ブームが去って久しく、日本での公開本数もグッと減ってしまった感がある韓国映画だが、スターありきのブームに乗っただけの映画とは異なる、骨太な作品が少なくないのも韓国映画の面白いところ。『殺人の追憶』『オールド・ボーイ』などが比較的記憶に新しい方だが、それらに連なるズシリと重たいサスペンス映画が、5月1日から公開されている『チェイサー』だ。

 特にこの映画は『殺人の追憶』と比較される。どちらも実在の事件をベースにしている猟奇殺人犯を追う映画だからだ。主人公は風俗業を営む元刑事ジュンホ。ある時、彼の下で働く女たちが相次いで失踪(しっそう)する。ジュンホは消えた女たちを捜すため、手がかりをつかんでいると思われる客の青年ヨンミンを追う。

 が、ヨンミンは女を売り飛ばすどころか、すでに何人もの人間を殺していた猟奇殺人犯で、今また新たに、ジュンホの店から呼んだ女性ミジンを監禁し、手にかけようとするのだが…。

 この映画の面白いところは、観客にはヨンミンが殺人犯ということが最初から分かっているということ。劇中でヨンミン自身も早い段階であっさりと逮捕され、自ら「人を殺した」と告白してしまうのだ。

 映画の見どころはここからで、詳しく書けばネタバレになるので避けるが、ヨンミンが犯した罪の証拠や女を監禁している場所がなかなか判明せず、観客はジュンホや警察らの追跡の様子をジリジリと見守るしかない。やがて警察はヨンミンを証拠不十分で釈放するしかなくなり、最も危険な人物が野放しになることで、見ている側の不安は登場人物以上に増大する。

 そんな具合に全編に緊迫感と焦燥感がにじみ、ラストも安易には落ち着かない。猟奇殺人犯の話のため、暴力的な”痛い”シーンもあるので、その辺りが苦手な方はご注意を(映画はR-15指定)。ただ、そこは目をつぶってやり過ごしても、見る価値はある。

 韓国では500万人を動員する大ヒットとなり、当地のアカデミー賞にあたる大鐘賞で主要6部門を制覇。さらにレオナルド・ディカプリオがリメーク権を獲得し、自らの主演でハリウッドリメークが決定済みだ。

 ディカプリオといえば、香港映画の傑作『インファナル・アフェア』を、マーティン・スコセッシ監督とともに『ディパーテッド』としてリメークし、アカデミー作品賞、監督賞などを受賞する作品に仕上げていることから、『チェイサー』のハリウッドリメークも、同じようにアカデミー賞に絡む作品として注目を集めることも予想できる(リメーク版の製作は2010年といわれているので、しばらく先だが…)。

 将来のアカデミー候補作の”青田買い”というわけではないが、オリジナル作を見ておけば、リメーク作が生まれた時により楽しめる。そうした意味でも、映画ファンなら今年見逃せない1本だ。
eiga.com編集部・浅香義明)

『チェイサー』
『チェイサー』ナ・ホンジン監督インタビュー

ディパーテッド [DVD]

再び受賞なるか。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】 “裁判員制度”が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』
【関連記事】 『デコトラ・ギャル奈美』──古きよき時代のロマンポルノ・リターンズ
【関連記事】 この世でもっとも”熱い”マンガ、『宮本から君へ』を君は読んだか?

最終更新:2009/05/30 11:00
ページ上部へ戻る
トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真