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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第9回】

〆切が明暗分けた週 のりピー、押尾、大原まで網羅した「週刊朝日」圧勝劇

asahi.jpg「週刊朝日」8月21日号

部数低迷が叫ばれ、その存在意義が問われども、テレビや大手新聞が”書けない”真実を暴く週刊誌ジャーナリズム──。毎週発売される各週刊誌の中から、伝説の編集長・元木昌彦が選りすぐりのスクープ大賞を認定!!

●第9回(8月4日~8月11日発売号より)

第1位
衝撃スクープ3連発
「酒井法子『薬物逮捕』の衝撃」
(「週刊朝日」8月21日号)

第2位
「「独占撮り下ろし 蛯原友里 撮影:渡辺達生」(「週刊ポスト」8月21・28日号)

判定不能 
「スクープ写真 押尾学『不倫相手の女が死んだ!』」(「フライデー」8月21・28日号)

 先週は、芸能界大激震の週であった。8月3日の未明、酒井法子の夫で自称プロサーファーの高相(たかそう)祐一が、渋谷の路上で覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕され、その場に呼び出された酒井法子が、そこから逃走してしまう事件が起きた。

 同じ日の夜、俳優で歌手の押尾学が、”エクスタシー”と呼ばれる合成麻薬MDMAを使用したとして、こちらも麻取法違反容疑で逮捕された。逮捕のきっかけになったのは、前日2日の午後、六本木ヒルズのマンションの一室で、銀座のホステスが全裸で死んでいて、死の直前まで、押尾が一緒にいたことが判明したからだ。

 どうやら、押尾と一緒にMDMAを服用してSEXしているうちに、薬物中毒で心不全を起こしたのではないかと見られている。

 どちらにしても、芸能界の薬物汚染は相当深刻なところまで広がっていると見ていい。どこも触れていないが、覚せい剤やMDMAは、今も昔も暴力団の資金源であること変わりがない。一度その魔の手に捕らえられれば逃れられず、行き着く先は人間崩壊である。

 芸能界だけではなく、主婦の間にも覚せい剤が蔓延していると言われて久しい。クスリを買ったヤツらも悪いが、それを供給する悪の源を断つ努力を、警察はもっとすべきだ。

 ところで、私にとってショックだったのは、6日にわかった女優・大原麗子の孤独死だった。2週間近く連絡が取れず、弟と警察が駆けつけたときには、死後数日経っていた。彼女とは多少の因縁がある。大原が俳優・渡瀬恒彦と結婚していた頃、森進一と「不倫している」と「現代」で取りあげたことがあった。もちろん彼女側は全面否定。書かれたショックのために、ギラン・バレー症候群という難病を発症して、決まっていたテレビの連続ドラマに出演できなくなったと、刑事と民事両方で、名誉毀損だと訴えてきたのだ。

 その頃は、刑事で訴えることは希であった。あわてた会社側は、編集長共々、大原のところへ行って謝り、何とか取り下げてもらうようにしろといわれた。

 担当者としては、内容に誤りはないと思っているから不服だったが、会社命令では仕方ない。彼女のところへ行って頭を下げ、数十万円を払った。そのとき会った大原は、この世のものとは思われない美しい人だった。

 それからしばらくして、大原は離婚し、私が書いたように、森進一と結婚する。だが、森とも別れ、以来一人だった。46歳で乳ガンにかかり、うつ病になったこともあったようだ。老いた母親の介護と難病を抱え、最後は孤独死である。私より一歳下だが、華のあるいい女優だった。冥福を祈りたい。

 さて、芸能界を揺るがした事件は、週刊誌の運不運をも際だたせた。「フラッシュ」「文春」「新潮」は合併号の締めきりに間に合わなかった。「フライデー」は押尾の事件は間に合ったが、酒井法子のほうは、「酒井行方不明」のまま時間切れ。

 押尾の事件はよく取材しているが、「ポスト」によれば、大きく写っている、亡くなった銀座ホステスA子さんの写真が違っているというのだ。確かに、「ポスト」や「朝日」の写真とはかなり違っている。(どれにも目線が入っているが)どちらが正しいのか? 「フライデー」は白黒を付けなければいけないだろう。したがって「判定不能」にした。

 2位は、「創刊40周年大感謝号」と銘打ったポストのグラビア。「CanCam」の専属モデルで有名になったエビちゃんも、三十路になる。香港で撮影したようだが、熟れはじめた彼女のセクシーな魅力がよく引き出されている。渡辺氏渾身のショットである。国生さゆりの「奇跡の裸身」もいいよ!

 「朝日」は、夏の合併号をやめて3年になると、山口編集長が「編集後記」で書いている。それが今号は功を奏した。8日の酒井法子逮捕まで記事の中に入っているからだ。

 私は知らなかったが、のりピーは、福岡市の暴力団組長の娘だったんだね。朝日によれば、のりピーが「ジャンキー」ではないかという話は、5、6年前からささやかれていたという。暴力団員は、「女がシャブに手を出す目的はセックスじゃ。一度、味を覚えると、それなくしてのセックスなんてやる気にならんよ」と話している。

 裁判員制度が始まったばかりだが、この制度の啓蒙映画に主演した酒井の逮捕は、司法当局の「人を見る眼の不確かさ」も明らかにしたように思うのだが。

 押尾事件も、大原麗子もすべて入っている「朝日」が、今週は完勝である。

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、年講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

元木昌彦の【週刊誌スクープ大賞】INDEX
【第8回】 二岡、小池、宮里……冴える「フラッシュ」の恋愛スキャンダル3連発!
【第7回】 “加害者”にされた者たちが週刊誌に語る「痴漢冤罪」の恐怖と屈辱
【第6回】 『250議席差で民主圧勝!?』衆議院解散総選挙「週刊現代」の大胆予測
【第5回】 師匠が愛弟子をバッサリ!「ヨゴレ芸人から首相へ ビンカンな下半身には要注意!」
【第4回】 週刊現代シルバー世代向けトルコ風呂もいいけど、ポストの民主党政権予測は他誌を圧倒!
【第3回】 新潮・文春、二大硬派週刊誌を押さえ、今週も『フライデー』が熱い!
【第2回】 週刊誌ジャーナリズムの原点  『女性自身』の長寿連載の真価
【第1回】 「フライデー」の”百聞は一見にしかず”強硬グラビア

週刊誌は死なず

元木氏の新著

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最終更新:2009/09/15 20:41
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