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サイゾースタッフ
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Webデザイナー/石丸雅己※
広告ディレクター/甲州一隆
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竹辻倫子※/田幸和歌子※
長野辰次※/平松優子※
プロデューサー/川原崎晋裕
パブリッシャー/揖斐憲
※=外部スタッフ
笑いの神に愛された男・板尾創路が泰然と歩む「天然と計算の境界線」
板尾創路は、来年1月スタートの新ドラマ『木下部長と僕(仮)』(読売テレビ・日本テレビ系)で、連続ドラマ初主演を務めることになった。同作で板尾は、予測不能な行動で周囲を振り回す広告代理店の部長役を演じるという。
あまりに癖が強すぎる芸風のため、バラエティーなどでは使いどころが限定される板尾だが、俳優業では順調に活躍の場を広げている。一見とっつきにくいが、そこにいるだけで強烈な存在感を放つ彼のキャラクターは、「俳優」という仕事と意外に相性が良いのかもしれない。
お笑い芸人には、大きく分けて「計算型」と「天然型」がいる。「計算型」とは、意図的に考えた上で、面白いことを言ったり面白い動きをしたりして人を笑わせるのを得意とするタイプだ。一方、「天然型」とは、本人が面白いことをやろうとは思っていない場面で、結果的に笑いが起こってしまう人のことだ。
もちろん、自らの力で笑いを取ることを職務としているという点では、ほぼ全ての芸人が計算型であるのは当然のことだ。だが、芸人によっては、ドッキリを仕掛けたり無茶ぶりをしたりして、あえてその人のリアルな反応を引き出した方が大きな笑いを生み出せる天然気質の人間もいる。天然型の芸人が、意図せず奇跡的な爆笑を勝ち取ったときには、その状態を指して「笑いの神が降りた」などと言われることもある。
さて、そこで考えたいのは、板尾創路は果たしてどちらのタイプに属するのか、ということだ。板尾は、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)の「シンガー板尾」「板尾係長」などのコントで、即興で破壊力あるボケを繰り出す芸風で知られるようになった芸人だ。自分で意図して笑いを生み出すことのできる彼は、一見すると明らかに計算型の芸人であるように思われる。
だが、本当にそうだろうか? 板尾は、他のどんな芸人と比べても、圧倒的に異様な佇まいを持っている。そんな彼の作り出す笑いの世界には、「計算」と「天然」の二分法には収まらないスケールの大きさが感じられる。
実際、板尾は、プライベートでしばしば天然ボケを披露していることでも知られている。日常における彼がいかにおかしいのかということについては、千原ジュニアをはじめとするお笑い界の語り部たちによって、数え切れないほどの実例が報告されている。彼は明らかに、単なる計算型ではなく、天然型の一面も備えているのだ。
板尾の芸人としての最大の特徴は、自分の言ったことで絶対に笑わない、ということだ。彼はボケを放つときにも、いつも飄々としている。極端なほどに無表情を貫き通して、自分の言ったことが笑えるか笑えないかは受け手に100%ゆだねる、とでも言わんばかりなのだ。
自分で笑わないことによって、板尾の放つボケには、計算と天然の区別がなくなる。どこまでが計算でどこまでが天然なのか、という境目が見えなくなってしまうからだ。
板尾は、基本的に笑いの後処理を一切しない。自分が言ったことに自分で笑って「ここが笑いどころですよ」と親切に示してみせることもしないし、他人のツッコミすら必要としていない。彼の作る笑いは、徹底的に自己完結的である。板尾は、笑いを起こした後で、自分もその笑いと共に消えていってしまうのだ。
笑いとは、そもそも瞬間的なものだ。面白いものを見ると、受け手は一瞬で笑う。そして、その面白いという感情は、同じくらい一瞬であっという間に消えてしまう。だからこそ、笑いのプロである芸人は、消えゆく笑いを少しでも長く手元に引き留めようと、自分で笑ってみせたり、ツッコミをいれたり、さまざまな工夫をしてみせる。
だが、板尾はそのようなことをやらない。彼は、笑いが消えようとするそのときに、観客の側に立って笑いを引き留めるのではなく、笑いの側に立って、笑いが消えると共に自分も消えてしまうのだ。
笑いなんていつでも作れる。だから、一度作ったものにこだわる必要はない。そうやって板尾はひたすら、笑いが生まれる瞬間の快楽だけを追い求めてきた。誰もが「笑いの神」の姿を一目見ようと必死になっているお笑い界の中で、板尾はただ1人、笑いの神と添い寝して、神出鬼没のお気楽な逃避行を続けているのだ。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)
日刊サイゾーで連載されている、お笑い評論家・ラリー遠田の「この芸人を見よ!」が書籍化、11月30日に発売されました。ビートたけし、明石家さんま、タモリら大御所から、オリエンタル・ラジオ、はんにゃ、ジャルジャルなどの超若手まで、鋭い批評眼と深すぎる"お笑い愛"で綴られたコラムを全編加筆修正。さらに、「ゼロ年代のお笑い史」を総決算や「M-1グランプリ」の進化を徹底分析など、盛りだくさんの内容です。手元に置いておくだけで、お笑いを見るのがもっと楽しくなる。そして、お笑い芸人を通して現代が見えてくる。そんな新時代の"お笑い批評"をお楽しみください。
●イベントのお知らせ
ラリー遠田presents
「お笑いトークラリー~M-1前日スペシャル~」
【出演】ラリー遠田 / 業務用菩薩
【会場】ネイキッドロフト
【日時】12/19(土)OPEN11:30/START12:00
前売¥1500/当日¥1800(共に飲食代別)
11/24からNaked Loft店頭にて電話予約を受け付けます。ローソンチケットでも11/24から販売します(Lコード:32677)。詳細は以下より。
http://owa-writer.com/2009/11/1219m1.html
ミステリアスメン!
●連載「この芸人を見よ!」INDEX
【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」
【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」
【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」
【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」
【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」
【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由
【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」
【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」
【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化
【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」
【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」
【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける
【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感
【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる
【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ
【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末
【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」
【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心
【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは
【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」
【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは
【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」
【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」
【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由
【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」
【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」
【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」
【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か
【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは
【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」
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【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略
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【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」
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【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」
【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」
【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」
【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」
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