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サイゾースタッフ
チーフエディター/佐藤彰純
エディター/北村千晶
デザイナー/cyzo design
Webデザイナー/石丸雅己※
広告ディレクター/甲州一隆
ライター(五十音順)
竹辻倫子※/田幸和歌子※
長野辰次※/平松優子※
プロデューサー/川原崎晋裕
パブリッシャー/揖斐憲
※=外部スタッフ
すべては中川家から始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」
ソフトバンクモバイルが主催するお笑い映像コンテスト「S-1バトル」にて、11月度の月間王者に選ばれたのは中川家の2人だった。映画『火垂るの墓』のキャラクターを使ってバカバカしい内容のコントを演じた「やりたいだけコント 節子」という映像作品で優勝を果たし、賞金1000万円を獲得した。
中川家というコンビは、舞台芸としての「漫才」と、楽屋芸としての「マニアックものまね」という2つの分野を得意としている。彼らは、それぞれのジャンルで新たな境地を切り開いて、近年のお笑いブームを牽引していく存在となった。彼らの残した功績について、以下に説明していくことにしよう。
中川家は、若手の頃から漫才に強いこだわりを持っていた。伝統的な、古き良きベテラン漫才師たちの芸を愛して、それを手本に自分たちの漫才の型を作り上げていったのだ。
彼らがデビューした90年代には、若手芸人が漫才ネタを披露できるような全国ネットの番組は、ほとんど存在していなかった。M-1グランプリが始まる前の「漫才不遇の時代」にもじっと耐え忍び、地道に腕を磨いて、活躍の機会をうかがっていたのである。
2001年に行われたM-1グランプリの第1回大会では、ちょうど結成10年目を迎える中川家が優勝候補の筆頭と言われていた。彼らにとってはぜひとも「勝たなくてはいけない大会」だったのだ。礼二の鉄道ものまねを取り入れたテンポの良い漫才で、彼らは見事に初代M-1王者に輝いた。しゃべくり漫才の伝統を受け継ぎながら、それに現代的なアレンジを加えた彼らのネタは、漫才の復権を掲げて始まったM-1で優勝するのにふさわしいものだった。
もう1つの「マニアックものまね」とは、日常生活で誰もが見たことがあるようなものを演じるという、新しいタイプのものまね芸である。これは、中川家の2人が楽屋などで芸人相手に披露していた内輪ネタが原型になっていると言われている。「忘れ物に気付いたサラリーマン」「阪神ファンのオッサン」など、鋭い観察眼で日常の一コマを切り取ったようなネタで、彼らはものまねの新境地を切り開いた。
主に、彼らと次長課長が中心になって「マニアックものまね」の面白さを広めたことで、他の若手芸人たちの間でもそれが流行するようになった。『とんねるずのみなさんのおかげでした』の人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で大勢の芸人たちが演じていたネタも、彼らのマニアックものまねがベースになっている。
また、マニアックものまねの応用版として「ミニコント」というのもある。これは、複数の芸人が協力して、ある特定の状況を即興で演じていくというものだ。仲のいい芸人同士がアドリブで延々と繰り広げるミニコントは、漫才やコントといったかっちりした芸とは別の種類の面白さがある。
初代M-1王者として漫才の面白さを世間に広め、マニアックものまねの先駆者としてその普及に貢献した。中川家の2人は、表舞台の芸としての「漫才」、裏舞台の芸としての「マニアックものまね」という2種類の武器を使いこなして、現在まで続くお笑いブームの礎を築いたのだ。
漫才では、高速でまくし立てるように話を進める礼二に対して、剛がゆったりした間合いで絡んでいく。ミニコントを演じるときには、礼二が口数の多いキャラ、剛が口数の少ないキャラを演じるという役割分担が自然にできている。実の兄弟であるために、彼らの間には「言葉にしなくても分かる」という絶対的な信頼があるのだ。
M-1に出ていた頃には、どちらかというと礼二の芸達者ぶりに注目が集まっていたが、最近では兄の剛も同じくらい器用だということが知られるようになってきた。2人の凄腕エンタテイナーが、血を分けた兄弟の絆で結ばれている。中川家の伝説はまだ始まったばかりだ。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)
日刊サイゾーで連載されている、お笑い評論家・ラリー遠田の「この芸人を見よ!」が書籍化、11月30日に発売されました。ビートたけし、明石家さんま、タモリら大御所から、オードリー、はんにゃ、ジャルジャルなどの超若手まで、鋭い批評眼と深すぎる"お笑い愛"で綴られたコラムを全編加筆修正。さらに、「ゼロ年代のお笑い史」を総決算や「M-1グランプリ」の進化を徹底分析など、盛りだくさんの内容です。手元に置いておくだけで、お笑いを見るのがもっと楽しくなる。そして、お笑い芸人を通して現代が見えてくる。そんな新時代の"お笑い批評"をお楽しみください。
●らりー・とおだ
1979年生まれ。おわライター/お笑い評論家。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。在野のお笑い評論家として、お笑いに関する分析・評論活動、インタビュー取材、コメント提供、マスメディア出演など活動は多岐にわたる。現在、お笑いについて熱く語るトークイベント「お笑いトークラリー」を主催している。WEBマガジン「日刊サイゾー」、ケータイ版「imidas」、お笑い動画サイト「owarai.tv」にてコラムを連載中。著書に『松本人志はなぜ人に媚びず自信満々に成功し続けるのか』(遠田誠名義、あっぷる出版社刊)がある。公式HPは「おわライター疾走」<http://owa-writer.com/>。
●イベントのお知らせ
ラリー遠田presents
「お笑いトークラリー~M-1前日スペシャル~」
【出演】ラリー遠田 / 業務用菩薩
【会場】ネイキッドロフト
【日時】12/19(土)OPEN11:30/START12:00
前売¥1500/当日¥1800(共に飲食代別)
11/24からNaked Loft店頭にて電話予約を受け付けます。ローソンチケットでも11/24から販売します(Lコード:32677)。詳細は以下より。
http://owa-writer.com/2009/11/1219m1.html
まえだまえだの将来像?
●連載「この芸人を見よ!」INDEX
【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」
【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」
【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」
【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」
【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」
【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」
【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由
【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」
【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」
【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化
【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」
【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」
【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける
【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感
【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる
【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ
【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末
【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」
【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心
【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは
【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」
【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは
【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」
【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」
【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由
【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」
【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」
【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」
【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か
【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは
【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」
【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」
【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」
【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由
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【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代
【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中
【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性
【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」
【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在
【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは
【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ
【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者
【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略
【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由
【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」
【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃
【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力
【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」
【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児
【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」
【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ
【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」
【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」
【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」
【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」
【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

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