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年末集中連載【AKB48の光と影】1/4

美少女たちの努力と絆──徹底検証「AKB48はなぜ売れたのか?」

akb1221.jpgAKB48公式HPより

 「2009年最もブレイクしたタレント」として評されるアイドルグループ・AKB48。

 時にさまざまな事件を起こしながらも、それを糧にして、躍進を続けてきた彼女たちの軌跡を、日刊サイゾーが年末集中4回に渡って総力特集。結成4年目にしてブレイクを果たした真相、”糞運営”と呼ばれる運営サイドの不祥事、急増したヲタたちの喜怒哀楽、そして、2010年のAKB48の予測まで、時代の寵児に成り上がったAKB48の光と影を浮き彫りにしていく。

 第1回目のテーマは、ズバリ「AKB48はなぜ売れたのか?」。CD不況と言われて久しい時代に「RIVER」で今年の女性アーティスト初動1位を記録するまでに至ったブレイクの真相を多角的に分析する。

1.「会いに行けるアイドル」が「会いに行くアイドル」に ファンをトリコにする最長1日6時間の握手

 AKB48をここまでの人気に押し上げたのは、間違いなくファン一人一人とダイレクトに交流する握手会だ。海外ではマドンナがレコード会社を捨て、コンサート会社と契約するなど、エンタメ界はより直接対面するライブやイベントとそのグッズ収益によって利益を得る方向にシフトするなど、ビジネススキームが確実に変化している。そんな中、AKB48の握手会システムもその大きな潮流の一つだ。

 AKB48は昨年10月発売のシングル「大声ダイヤモンド」から福岡、大阪、名古屋、東京の全国4か所を巡る”全国握手会”を開始。「会いに行けるアイドル」が「会いに行くアイドル」としてシングルリリースの度に、全国を行脚するようになった。

 さらにリリースと共に会場を増やし、北海道、広島、仙台にも進出し、知名度を全国区にしていった。もちろん本拠地・東京での握手会もさらに強化。東京ビッグサイトで人気メンバーは1日6時間(!)もの握手を敢行。批判も多いこの握手会によるCD販売システムだが、メンバーたちがファン一人一人に誠心誠意対応し、そしてそれを求めているファンがいることも事実。次回2月17日発売のシングルでは、全国握手会初となる東京での2回開催が決定。前回は8,000人がよみうりランドに殺到したが、動員をどこまで増やすのか注目だ。

2.常に1000曲をストック! 音楽シーンを革命する比類なき楽曲クオリティ

 デビュー当初から、AKB48の楽曲のクオリティは極めて高い。結成4年間で250曲以上ものオリジナルソングがあり、全曲総合プロデューサーの秋元康が作詞を担当。楽曲は、1公演16曲を選ぶために1000曲もの中から秋元らスタッフがセレクトしているという。

 楽曲をコンペ(コンペティション)で選ぶのは音楽業界では当然だが、常に1,000曲も集められるアーティストは稀有だろう。そして、AKB48の音楽性は、80年代以降の音楽シーンを包括すると言っても過言ではないほど、多岐にわたる。

 ヘビメタばりのハードエッジギターが冴え渡る「転がる石になれ」、EXILE並みのダンスバトルが炸裂する「エンドロール」、フラメンコ調の「シンデレラは騙されない」、女同士の禁断の恋心を歌う「禁じられた2人」、”援交”がモチーフの「涙売りの少女」、メンバーがバンドに挑む「友よ」、名バラードとして賞賛させる「誰かのために」「支え」、そして、ヲタ芸も打ちやすい王道のアイドルソング「BINGO!」「初日」など珠玉の名曲揃いだ。

 楽曲を提供するのは、中山美穂に多くの曲を提供してきた井上ヨシマサ、ボイストレーナーでもある岡田実音、浜崎あゆみやBoAへの提供で知られるBOUNCEBACK、秋元とのコンビでとんねるずなどを手がけた後藤次利など、新旧のヒットメーカーが数多く参加している。

3.大手事務所所属によるソロ活動・巧みな人海戦術

 AKB48は、加入時にAKSというAKB48本体の事務所に所属し、素人同然の少女が大手芸能プロダクションにスカウトされ、スターとなるまでの過程を見せる”リアル版アイドル育成ゲーム”とも言える。

 すでにメンバーを迎え入れた事務所は、板野友美ら所属のホリプロ、高橋みなみら所属のプロダクション尾木、前田敦子ら所属の太田プロ、篠田麻里子所属のサムデイ、柏木由紀ら所属のワタナベエンターテインメントなど、音事協所属の大手事務所。メンバーはソロ仕事を優先させ、前田らは女優としても活動。プロダクション尾木からは「ノースリーブス」と「渡り廊下走り隊」の二つのユニットが誕生し、柏木は『ひるおび!』(TBS系)で史上最年少女子高生お天気お姉さんを担当し、それぞれのソロ仕事でメンバーを知ったファンがAKB48に注目するという人気のフィードバックが行われるようになった。

 さらに、AKB48は毎日の劇場公演に加え、『AKBINGO!』(日本テレビ系)など4本のレギュラー番組を放送。既存の多くのアイドルが、仕事に忙殺され、消費されつくしてきたが、AKB48は研究生を含め現在70名が所属。さらにSKE48とSDN48も擁し、合計110人以上をフル稼働させる巧みな人海戦術で今後も芸能界の荒波を乗り越えていくはずだ。

4.女性をファンを増やしたメンバーのファッションとブログの効果

 時代は常に女性のファッションの手本となるアーティストを必要としている。90年代にアムラー文化を生んだ安室奈美恵、そして、華原朋美、浜崎あゆみ、倖田來未とファッション誌の表紙を飾るアーティストの”指定席”があった。

 だが、2008年1月倖田來未が”羊水騒動”により失脚。その後、ファッションの参考となる歌手のポジションが空白となった。安室、浜崎は既にトウが立っており、絢香、大塚愛、YUIは、ファッションという点では、方向性が違った。

 そんな中、その”指定席”に座ったのがAKB48。制服が自由になる学校が増える中、AKBのバリエーション豊かな制服はファッションの参考とされ、また、メンバーがブログにアップする私服が巷では売れているという。

 選抜1位の前田敦子や、雑誌「MORE」(集英社)モデルの篠田麻里子が毎日私服の全身写真をアップし、メーカー名まで表記。同性の支持なしに人気商売は成り立たないが、現在、AKB48劇場にも女性ファンが多く詰め掛け、握手会を開く度に女性の比率が増大してきているのもAKB48ブレイクの重大な要因だろう。

5.ステージで夢を語れ! メンバーに相次ぐ試練とファンとの感動共有体験

 メンバーのプロ意識を大きく変革したのが、6月に行われた”シングル選抜メンバー”を決定する初の「選抜総選挙」。AKB48は20名程度の”選抜メンバー”のみがシングルへの参加を許され、秋元康がそのメンバーを決めていたが、14thシングルでは、そのメンバーをファンの投票によって決定。”干され”メンバーのヲタは、自分の推しメンを選抜入りさせようと生活費を切り詰め、投票券が封入されたシングル「涙サプライズ!」を買った。

 運命の開票日、そこに待ち受けていたのは、涙、涙のオンパレード。初の選抜入りを果たした佐藤亜美菜が「AKBに貢献できてないって思っていて……」と心情を吐露し、秋元才加の選抜復帰を自分のこと以上に喜ぶ宮澤佐江の二人の熱き友情など、メンバーはそれぞれの決意を語り、改めてファンの存在によって自分たちが成立していることを自覚すると共にメンバー同士が互いを高め合えるライバルであることを学んだ。

 また、既存のアイドルとは異なり、AKB48は”卒業”することが大前提とされている。歌やダンス、MCのトークなどを磨くことで成長し、いずれは女優、歌手、モデル、タレント、声優などそれぞれの夢の向かっていく。各メンバーの生誕祭では、時に涙を流しながら、自分の夢、目標を改めて語るのが通例となっている。

 「選抜総選挙」で互いのライバル意識を実感し、卒業を前提とすることで、卒業後の自分の居場所を自ら探し、将来のヴィジョンを開拓するプロ意識を自覚した点もAKB48の強みだろう。

 そして、ファンは、未来の夢を語り、日々成長するメンバーに励まされ、メンバーもファンたちの激励の応え、さらにパフォーマンスに磨きを掛けていく。メンバーに新たな仕事が決まれば互いに喜び、感動を共有しながら、握手会で互いへの感謝が伝えられるというシステム。ファンからすれば、手が届かないはずのアイドルと”絆”すら感じることができてしまうのが、AKB48最大の魅力ではないだろうか。
(文=本城零次)

クイック・ジャパン87

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最終更新:2013/01/29 15:18
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