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サイゾースタッフ
チーフエディター/佐藤彰純
エディター/北村千晶
デザイナー/cyzo design
Webデザイナー/石丸雅己※
広告ディレクター/甲州一隆
ライター(五十音順)
竹辻倫子※/田幸和歌子※
長野辰次※/平松優子※
プロデューサー/川原崎晋裕
パブリッシャー/揖斐憲
※=外部スタッフ
しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」
お笑い人気のうちの何割かは、いわゆる「腐女子」的な目線によって支えられている。これは、お笑い業界人やお笑いライブに通っているような人間ならば誰でも知っていることだ。
「腐女子」とは、男性同士の恋愛を扱った小説やマンガを好む趣味を持った女性のこと。彼女たちは、単にボーイズラブを描いた作品を好むだけではなく、物語の登場人物や、実在するアイドルや芸人の男性同士の間にも勝手に恋愛関係を読み込んで、妄想を広げるのを楽しんでいる。
若手芸人が出演するお笑いライブでは、観客の大半は女子中高生を中心にした若い女性たちだ。もちろん、彼女たち全員が正真正銘の「腐女子」であるわけではない。だが、多かれ少なかれ「腐女子」的な関心を持って、男同士が仲良く戯れる様子を見たいと思って劇場に足を運んでいるというのは恐らく間違いないだろう。
男性芸人たちは、ネタを演じるときにもトークをするときにも、互いに遠慮なく厳しい言葉をぶつけ合い、楽しそうにじゃれ合う。ホモソーシャルな関係性を保って、男同士が馴れ合い的な付き合いをしている姿そのものが、多くの女性ファンにとってはこの上なく魅力的に映っているのである。
そんな女性たちの腐女子目線を巧みに取り入れて人気者になった芸人こそが、しずるの2人である。
彼らが世に出るきっかけとなったのは、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)で披露した「青春コント」と言われるスタイルのネタだった。このネタの中では、学生を演じる池田一真と村上純が、実に他愛もないことで大げさに悩み、口論の末に友情を確かめ合って、最後には互いの名を呼んで抱き合う。いわば、しずるは青春コントによって、「男の友情」そのものを戯画化して笑いにつなげているのである。
「友情」を主題としたこのネタによって、しずるは腐女子たちの心をつかんだ。もちろん、腐女子的な目線を抜きにしても、ネタの質の高さと演技のうまさは群を抜いていた。彼らは『ザ・スリーシアター』のレギュラーにも選出され、その後続番組『爆笑レッドシアター』の大ヒットによって、一気に全国区の人気者へと上り詰めたのである。
『爆笑レッドシアター』でも、彼らの「腐女子狙い」の作戦は続いている。池田演じる女子高生・清美が、村上演じる担任教師の何気ない優しさに、口では反発しながらも心ひかれていくコントなどは、根強い人気がありシリーズ化されている。ここでは、池田が女性役になって素朴な恋愛感情を表現することで、間接的に同性愛的な構図をほのめかしているのだ。
恐らく彼らは、「男の友情」というものを、かなり客観的に突き放して認識している。だからこそ、それを自らの武器として生かすことができたのだろう。これができないと、「何となく観客にウケるから」という理由だけで、やたらと友情ネタや恋愛ネタを演じるだけの薄っぺらい芸人になってしまいかねない。
だが、しずるにはそれがない。彼らは、男の友情というものを、あくまでも自分たちのネタを印象付けるためのツールとして有効に活用しているのだ。そこがしずるというコンビの非凡なところである。
今年1月に始まった板尾創路主演のドラマ『木下部長とボク』(読売テレビ・日本テレビ系)では、しずるの池田が俳優デビューを飾った。彼は、大手広告代理店・丸々通信に入社した新入社員・僕元公司として、板尾演じる部長・木下幸之助のマイペースぶりに振り回される役どころを巧みに演じている。
この若さでドラマに抜擢されるというのも、池田の確固たる演技力が認められた証だろう。「キングオブコント2009」でも決勝に上がった彼らは、紛れもなくコントの達人であり、「腐女子狙い」ではあっても、腐女子だけしか取り込めないようなスケールの小さい芸人ではない。しずるは、卓越した演技で、「男の友情」をネタに変えて売りさばく腐女子マーケットの行商人なのだ。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)
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ラリー遠田×担当編集S「お笑いを楽しむための"ツールとしての批評"でありたい」
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