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ヤクザ×警察官、用心棒×組長……腐女子たちは”裏社会”に激萌!

──裏社会を舞台にしたBL作品が腐女子に人気だ。あらゆるタイプの男性が描かれるこのジャンルでは、ヤクザ×警察官、用心棒×組長など、取り扱いはなんでもあり。なぜ腐女子たちは危ない世界の男たちの愛に熱狂するのか? その理由を真剣に考えてみた。

1006_BLmanga1.jpg西田東『願い叶えたまえ』1巻より。ピアニストの青年(攻め)の手を
刺した部下に、暴力団の幹部(受け)が指詰めを命じるシーン。受け
のほうがゴリゴリのアウトローという少し珍しい設定だ。

 ヤクザやマフィアなど、裏社会をテーマにした小説やマンガの男性人気が高いのは、周知の事実。ハードボイルドで”これぞ、雄の中の雄!”ともいうべき男の美学炸裂な世界に憧れを抱いているから、男性はそういった作品を好むのだろう。その一方で、裏社会をテーマにした作品は、一部の女性……ボーイズラブ(以下、BL)好きの腐女子をも虜にしてきたことは、男性諸氏にはあまり知られていない。

 実は、BL小説・マンガの中では、”ヤクザ×ヤクザ””ヤクザ×警察官””ヤクザ×医者”【註:×前はセックスの際挿入する側の”攻め”を、×後は挿入される側の”受け”を指す】などのカップリングはド定番で、裏社会をテーマにした作品も多く見受けられるのだ。ただ、腐女子が好むヤクザは、仁義に熱く、男性がロマンを感じるようなヤクザ像とは少し異なっている。


「暴力団という組織自体が軸になると、BLとしてはかなりシビアな物語になってしまうので、男性向けノワール小説に登場するようなドシリアスなヤクザモノが好きという方はかなり少数派だと思います。メイン人気は、極道的なしがらみをバッサリ排除し、設定としてだけの”なんちゃってヤクザ”。アウトローな攻めと一般人の受けが出会い、受けがアウトローな世界に巻き込まれていくパターンや、アウトローな攻めを仕事で追う刑事や探偵が受けで、対峙しながらラブな展開になっていくパターンがBLではひとつの典型です」(BL専門レビューサイト「ちるちる」代表・井出洋氏)

 どうやら腐女子はヤクザという生きざまにではなく、肩書に萌えを感じている様子。それはつまり、昔の少女マンガにありがちな、”怖い不良だと思っていたアイツが、捨てられた子犬に餌をあげているところを見ちゃって……今、胸キュン!!”的な、女子の大好物であるギャップ萌えを、ヤクザに見いだしているということなのか。

「そうですね、ヤクザモノ人気の理由は、『不良が実は優しいとポイントが高い』というパターンの延長線上にあると思います。社会人を主人公にした場合、一番ギャップ萌えを描きやすいのが恐らくヤクザです」(同)

 だが、ギャップ萌え要員のなんちゃってヤクザとはいえ、BL読者は、物語として楽しめる作品でないと満足しないので、アウトローのディテールはしっかりと描かれている。そういった部分もふまえて、英田サキ著の人気シリーズ『エス』など、BL小説を手がける大洋図書・SHYノベルズ編集部は、裏社会モノの魅力をこう分析する。

「恋愛モノは障害があればあるほどおもしろくなります。そういう意味では、裏社会をテーマにした作品は、一般社会にはないルールや駆け引きがあり、ドラマが生まれやすく、男同士の絆や男としてのプライドをより明確に読者の皆さんに提示できるので、とても魅力的な素材なのだと思います」

最終更新:2010/05/16 21:00
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