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殿堂入りの名王者が手引きも!? 大相撲の暴力団問題がボクシング界に飛び火か

 大相撲と暴力団とのつながりを示すとみられる賭博問題を検証していた特別調査委員会・山口弘典委員が23日、委員を解任された。これは、山口氏と暴力の”接点”が明らかになったためだが、山口氏は意図的なものではなかったと主張している。山口氏は知る人ぞ知るボクシング界の重鎮だが、ボクシング界からは暴力団との関係について「角界と同じで深刻な問題だろう」といった声も聞こえている。相撲の暴力団問題がボクシング界にも飛び火する可能性があるようだ。

 今年5月の大相撲夏場所、土俵際の維持員席で指定暴力団住吉会系の暴力団組長が観戦していた。そのチケットは、「ヤマグチ土浦ボクシングジム」の岩本悟会長が旧知の仲である元呼び出しに依頼して手に入れたもので、岩本会長は入手したチケットを知人の建設会社の元社長に譲渡。それが最終的に組長に流れたと説明しているという。

 だが、岩本会長と建設会社元社長との付き合いは数年前からあり、暴力団組長へチケットが流れたのは今回限りのことなのか、いまのところ定かではない。

 さらに、元社長と岩本会長と引き合わせたのは、なんと元世界王者で全日本ボクシング協会の前会長でもあるファイティング原田こと原田政彦(原田ジム)会長だったのだという。

 原田会長は世界ボクシング殿堂にも選ばれている日本を代表する偉大な選手だったが、かつて暴力団関係者が所有するビルに自身のボクシングジムを構えたことが明らかとなり問題視された過去もある。

 一方、山口氏はヤマグチ土浦ジムの最高顧問でもあったため、今回、その監督責任を問われる形で委員を解任されることになった。

 山口氏は報道陣に対して「やましいことはない。知らないでやった。それが暴力団に流れた。(問題は)配慮が足りなかったという一点に絞られる」などと語り、意図的に暴力団に流したわけではないと強調していた。

 とはいえ、山口氏を知る老舗ジムの会長は、こう指摘する。

「そもそも山口さんがあんな委員を引き受けること自体がおかしかったんだろう。相撲の問題を指摘すればするほど、『だったらボクシングはどうなの』と言われてしまう可能性があったんだからね」

 そして今回、たとえチケットの流出が本当に一度だけで意図的なものではなかったとしても、「ボクシングと暴力団とのつながりは角界と変わらない。この世界では暴力団のつながりがないと困る人たちが少なくないのも現実だ」(中堅ジムの会長)という。

 具体的に言えば、「今でも興業のチケットをあちらの世界の人たちに引き取ってもらっているジムはあるし、それがないと興業が成り立たないところもある」(同)という。

 また、たとえ優秀なボクシング選手がいても、ボクシングだけで食べていける選手は上位のごくわずか。そうなるまでは別の仕事をしながら練習をするのが普通のことだ。

 ところが、練習に専念すればするほど仕事は休まなければならず、正社員として受け入れてくれる企業は少なくなる。さらに、若いころからボクシング一筋の選手が現役を引退した後、引き取ってくれる企業も同様に少ない。

 それだけに、ある弱小ジムのトレーナーは「古くから暴力団と関係の深い企業ほど、こちらの事情を考慮して選手や元選手を働かせてくれたりするところもある」と打ち明ける。さらに、ボクシング界の裏事情に詳しい前出の老舗ジムの会長は「ボクシングも芸能界と同じで興業の世界。昔から暴力団との繋がりは絶えず、これまでは、そちらの世界に顔が効かないと実力者として評価されないところもあった」と話す。

 言わば、ボクシング界と闇社会との交流は関係者の間で必要悪として認知された「暗黙の了解」という側面があるのだという。それだけにボクシング界でも、かねてから暴力団排除の掛け声や活動が続いてもいるのだ。

 今回、激震に見舞われた角界の様子を横目でみていて、東日本ボクシング協会は7月12日の理事会で「暴力団等排除対策協議会の設立準備委員会」を立ち上げることを決めた。今後は日本ボクシングコミッション(JBC)との連携もより深めて、暴力団対策を進めていくのだという。

 だが、前出の中堅ジム会長は「JBCは2007年に警察とも連携して暴力団排除の活動を積極的に行うことを打ち出した。けれど、その後の活動は鳴かず飛ばずになっている。それは本当に排除するということが、いかに大変なことかが良く分かったからではないのかと、私はみている」とつぶやいた。

 そして今回、相撲の問題が大騒ぎとなったのは賭博やチケットの譲渡といった問題で、角界と闇社会のつながりが、具体的な事実として表面化したからにほかならない。つまり、暴力団対策を進めるということは、まずは、そのつながりを”公然の事実”にしなければならないところが出てくるのだ。

 そうなれば当然、日本相撲協会を解雇された大嶽親方や琴光喜のような”犠牲者”が出る可能性も高いだろう。

 今回、山口氏の解任騒動も含めたうえで、果たしてボクシング界は、どこまで暴力団排除の動きができるのか。今後、具体的な事例が明らかにできるのであればボクシング界も本気だと言えそうなのだが……。
(文=原田翔)

ヤクザと日本―近代の無頼

怖いよ~!

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最終更新:2010/07/26 15:00
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