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「意味が分からない男になりたい」キングコング西野亮廣という生き方

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 11月11日、キングコング・西野亮廣の絵本『Zip&Candy ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』(著:にしのあきひろ/幻冬舎)が発売された。これは、彼にとって『Dr.インクの星空キネマ』(同)に続く2冊目の絵本。独特の緻密な絵柄で、ロボット同士の温かくほろ苦い恋愛模様を描いている。

 『はねるのトびら』(フジテレビ系)などのレギュラー番組に出演するかたわら、絵本や小説の制作、ライブ活動、ドラマ主演など、ますます多忙を極める西野の果てしない創作意欲の原点に迫ってみることにした。

――そもそも絵本を描こうと思ったきっかけは?

西野亮廣(以下、西野) 飲みの席で、タモリさんに「絵を描け」って言われたことがあったんです。それを僕は1回断ったんですよね。興味がないから嫌です、って。そしたら、「じゃあ何に興味あるんだ?」って言われたから、お話を作るのは好きです、って答えて。じゃあ絵本はどうなんだ、っていうことになったんですよ。そこで、2人で絵本についていいところも悪いところもあれこれしゃべって盛り上がったんです。それで、悪口だけ言ってるのも気持ち悪いので、自分で作っちゃおうかと。

――具体的には、既存の絵本のどういうところが不満だったんですか?

西野 僕自身が、子どもの頃に絵本を読んでそこまでドキドキしなかったんですよ。それって、ドキドキするような絵本が世の中にないのか、絵本作家が作ってないのか、どっちなんだろう、と思って。絵本って「子ども向け」とか「大人向け」とか、そういう言葉をよく耳にするじゃないですか。それって、子どもの手に渡る前に、大人が1回ふるいにかけてるってことですよね。でも、そもそもそこで大人に止められてしまうようなもんを作っちゃダメよなあ、ってなったんです。そこから絵本作りが始まりました。

――絵本を描くにあたって、既存の絵本を読んで参考にすることはありましたか?

西野 いや、なかったですね。いきなり描いたんですよ。お笑いもそうなんですけど、僕は割と、何でもすぐ始めちゃうんですよね。勉強してから臨む、みたいなのはあんまりなくて。いきなり首つっこんじゃう。それで、これはあかんのか、とか思い知った方が早いですから。

――そうやって1冊目の絵本に取り組んだ結果、完成までに5年もかかってしまったわけですね。そこまで時間がかかった理由は?

西野 絵本に関しては、プロの絵本作家さんでも描ける絵本を描いたら自分には勝ち目はないなあって思って。じゃあ、絵本作家さんが描けないのって何かなと考えたら、僕はそれでご飯を食べてるわけじゃないので、いくらでも時間はかけられるなあと。だから、とにかく時間をかけて作ろうということになったんです。1年半くらいでできると思ってたんですけど、結局5年かかりました。

――今回の2冊目の絵本『Zip&Candy』は、シンプルな物語ではありますが、終わり方は完全なハッピーエンドではなく、ちょっと考えさせられるような部分もありますよね。

西野 そうですね。ロボットだから気にならないですけど、実は人間に置き換えたら結構重い話かもしれないですよね。それを、クリスマスという設定でハッピーエンドっぽく見せてるだけで。

――さて、今年もそろそろ終わりますが、2010年は西野さんにとってどんな1年でしたか?

西野 今年はドタバタでした。小説出して、漫才の全国ツアーがあって、ソロDVDが出て、絵本が出て。でも、24~25歳ぐらいのときから1人でコツコツやってきたことが、ようやく実を結んできたのかな、という感じはあります。ほんのちょこっとだけですけどね。自分のやってることを面白がってくれる人が、ようやく少しずつ周りに集まってきた感じはありますね。

――今年7月には、毎日書かれていたブログ「西野公論」も終了しました。あのブログは、あまりに率直な書きっぷりで、ネット上では何かと物議を醸していました。その背景には、「芸人はがんばってるところを人前で見せてはいけない」という認識が世間では根強くある、ということが大きいんじゃないかと思うのですが。

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西野 それ、ありますよね。確かに僕も、見せない方がいいとは思いますよ。でも、それだといくらでも逃げられちゃうんですよ。強い人なら逃げないかもしれないけど、僕みたいにサボり癖のある人間は、そういう荒療治をしないとダメなんです。

――つまり、あのブログは自分を縛るために書いていた、ということですね。

西野 そうです、自分のためです。

――それを書く必要がなくなったというのは、そろそろ何もしなくてもサボらなくなってきた、ということなんでしょうか。

西野 そうですね。あと、自分の周りで一緒に仕事に関わる人が増えたので、世間に言わなくても、そっちに言うことで、自然とやらなあかん状況になってますからね。以前は仲間がいなくて、モノを作るときにずっと1人でしたから、どっかに言わないと絶対サボると思ってました。このやり方って、僕はサボっちゃう人にはおすすめなんです。その代わり、もちろん、世間の風当たりはきつくなりますけどね。

――普通の人がそれをやったら、副作用がきつすぎるんじゃないですか(笑)。

西野 ははは(笑)。ただ、あれは、変なやつになるための薬みたいなとこありますよ。

――それはかなり実現できてますよね。ブログを書いて絵本を出したりもして、西野さんには「何だか意味が分かんないやつ」っていうイメージも定着しつつあると思います。

西野 「意味分かんない」って、いいっすよね! それが一番良くないですか。受け手の人の容量に収まってるって絶対嫌ですもんね。僕が子どもの頃に見てたタレントさんって、そんなんやったと思うんですよ。勝新太郎さんなんかも、よう分からんでしょう(笑)。ほんまに何考えてんねん、って。ああいう感じが好きで、やっぱまだどっか憧れてるんですよね。

――そもそも、お笑いの世界って、世間から逸脱した人が集まる場所、っていうところはありますからね。

西野 そうですよね。常識を守れない人、っていうことですもんね。大学進学しろって言われてるのに、なぜか吉本に行っちゃってるわけだから。みんなをそこで1回は裏切ってるんで、その調子で最後まで行きたいですよね。
(取材・文=ラリー遠田/写真=長谷英史)

ジップ&キャンディ―ロボットたちのクリスマス

ドッキドキ?

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最終更新:2018/12/07 18:14
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