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日本赤十字"義援金"の不正疑惑を問う【1】

“公平・中立”を掲げ”厚労省と政財界”と蜜月──日本赤十字社”義援金”の不正と正当

──震災義援金の窓口として、身近な存在となった日本赤十字社。しかし、莫大な義援金を円滑に処理できずに批判を受けている。さらに、高尚な理念を掲げる組織なだけに、何かと風当たりは強いようだが……そんな日赤自身に、これまでに巻き起こったさまざまな批判や疑問をぶつけてみた。

「もう、いわれのない誹謗中傷のせいで、本当に参っているんですよ~。ウチの職員なんてみんな身の危険を顧みずに、われ先に『私が被災地に行きます!』って言い合って、頑張っているんですから」

 日本赤十字社(以下、日赤)の企画広報室(以下、広報室)に電話をすると、担当者はだんだん愚痴をこぼし始めた。「週刊新潮」(新潮社/6月16日号)をはじめ、ネット上で日赤の義援金配分遅延が明るみに出るにつれ、同社にはメディアや一般の人々から問い合わせや抗議の電話が殺到しているという。

 今回の震災で、日赤はいち早く被災地での大規模な医療救護や救援物資支援などを展開する一方、このような義援金問題などで批判を受けている。

 そもそも、そんな日赤の実態について、一般にはあまり知られていないのではないか? ここでは、昨今世間から上がっている日赤への批判、疑問の声を通じて、謎多き巨大組織に迫りたい[日赤という組織に関する基本情報は、当特集【2】参照]。

【疑問1】

■義援金配分遅延は誰の責任?

 6月上旬、「巨額義援金を寝かして恥じなかった『日本赤十字』」というセンセーショナルな記事が「週刊新潮」に掲載されて以降、特にネット上で日赤への批判が噴出した。日赤には4月時点で全国から1000億円以上の義援金が集まっていたが、5月26日時点ではわずか約200億円(日赤HP)しか被災者の手に届いていなかったという、配分遅延の問題についてである。なお、本稿執筆時点での日赤の義援金受付総額は2713億円(7月28日時点)、被災者への配分済み金額は774億円(7月19日時点)である。この「週刊新潮」の記事によると、配分の公平性を重視するあまり、各被災市町村が被災家屋の半壊・全壊などの評価に延々時間をかけていて、いつまでたっても被災者の手元に現金が届かないという。日赤に集められた義援金は、学識経験者や義援金受付団体からなる「義援金配分割合決定委員会」で決定した割合に従って被災都道県に届けられ、その後は各都道県が設置した配分委員会の決定に従い、都道県→市町村→被災者という流れになる。「日赤としては、集めた義援金の大部分はすでに県に配分しており、一刻も早く被災者に届けていただくよう関係自治体などにお願いしています」(広報室)と釈明しているが、義援金配分先である被災3県の日赤支部長は現職知事が兼務。日赤の定款には、「支部長は、支部の業務を管理する」とあるが、今回のような非常時こそ、日赤と、知事をトップとする地方自治体が連携して迅速に対応するための「兼務」ではなかったのか?

 そもそも、今回の配分遅延の原因はなんなのか? 現役の日赤職員はこう釈明する。

「今回のように配分先が複数県にまたがり、被災状況の査定、および被災者への義援金配分に必要な罹災証明の発行手続きを担う市町村が機能しないという事態は、日赤の想定外でした」 

 一方、広報室からの正式回答は、前記配分状況の説明後「詳細情報は、それぞれの被災都道県にお尋ねください」と他人事のよう。

 しかし、震災2~3週間後の早い段階から物流網の回復が進み、現金があればモノが買えるという状況が広がりつつあった中、義援金配分は急務だった。「想定外」の天災に対する支援体制を整備しているはずだと、国民は「赤十字」のブランドを信用して、今回に限らず、日頃から寄付をしてきたはず。日赤の答えは、批判を受けても仕方ないだろう。

 また、日赤の運営は、寄付金と国からの一部補助金、個別事業収入などで賄われている。その運営体制下で日赤は、震災義援金からは手数料を抜かず、全額支援に回し、送金までの間、銀行口座にプールされた莫大な義援金には、利子がつかないようになっているという(一部地銀の利子がつく口座分は、利子分も義援金として配分)。これに対し、脳機能学者・苫米地英人氏が自身のブログ上で指摘するように、銀行口座に預けられた義援金残高をベースに、銀行が外部に多額の貸し付けを行い、利子を得ているとすれば、寄付金を使った利益供与になりかねない。

「義援金の預金により、金融機関様が利益を得ているか否か、ということにつきましては、日赤では把握しておりません」(広報室)

 銀行への便宜供与の有無は、日赤の独立性・中立性にかかわる問題でもある。積極的に把握する必要があるはずだ。

最終更新:2011/08/22 10:30
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