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現場スタッフが匿名で暴露!

ドラマ化でも売り上げは同じ!? 超面倒な『宇宙兄弟』……マンガ編集者座談会

【プレミアサイゾーより】

──業界分析【記事参照】で見た通り、『ワンピース』など一部の人気作で活況を呈しているように見えるマンガ業界も、マンガ誌の売り上げは下がる一方で、明るい未来はとても描けない状況。そんな中、ケナゲにがんばる現場のマンガ編集者は、このマンガ不況に何を思う!?

1112_manga1.jpg(写真/渡部幸和)

座談会参加者

A…大手出版社勤務(マンガ編集歴4年)
B…大手出版社勤務(マンガ編集歴6年)
C…中堅出版社勤務(マンガ編集歴15年)
D…中堅出版社勤務(マンガ編集歴5年)

A さっそくだけど、最近気になってる作品はある? 売り上げだけを見ると、相変わらずトップは『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)だね。オリコンの2011年上半期の集計でも、2336万部以上とケタ違い。ウチにもこういう作品がひとつでもあれば、雑誌が助かるのにな。

B でも、『ワンピース』を読んでも全然面白くないと思うのは、俺がおかしいのかな(笑)。同じランキングで4位だった『進撃の巨人』(諫山創/講談社)は約260万部。あの作品を見て、「絵が下手でも売れるんだ」と思った。

C 絵はもっと下手な人がいる(笑)。『進撃の巨人』は、構成や人物描写は秀逸だよ。それに、連載時から単行本になった時のことを想定していて、単行本の最後に当たる回に「次はどうなるんだろう」と思わせる”引きの場面”を必ず持ってくる。数年前までは、特に大手ではそういった戦略はそこまで顕著には見られなかったけど、マンガ誌が売れない今は単行本でなんとしてでも稼がないとならないから、わかってる編集者はちゃんと考えてる。

D 「Eleganceイブ」(秋田書店)で連載されてる『花のズボラ飯』(原作:久住昌之、作画:水沢悦子/秋田書店)も気になるな。谷口ジローさんなんかとも組んでいて名のある久住さんに、萌え系エロマンガ家のうさくん(作画者の別ペンネーム)を当てたというところが新しい。毎回、主人公の”花”が恍惚とした表情で「ズボラ飯(=手抜きメニュー)」を頬張ってるシーンは、まさにエロマンガ(笑)。

A 確かに。実際にはエロ描写がないんだけどね。それが、昨年10月の単行本発売時、都条例の「非実在青少年」問題なんかが取り沙汰されてる中で、ツイッターや2ちゃんねるでなぜか注目されちゃった。それであちこちで画像が貼られまくって認知度が上がり、ヒットにつながった。

D『花のズボラ飯』と同じ雑誌で連載されてる『嫁姑の拳』(函岬誉/秋田書店)も気になる。『北斗の拳』ばりに嫁姑が戦うという、ぶっとんだ作品なんだよ。秋田書店って結構面白い作品があるのに、売り方が悪いのか爆発的ヒットまでいかないね。

B あの会社、実績あるヤンキー系のマンガは結構刷ってるのにね。どうやら部数の決定権を持つ社員が実質一人らしくて、その人が気に入らないマンガははじかれてるという噂。重版かければ売れるだろうに、もったいないよね。

D 「モーニング」(講談社)のウェブサイトで連載してる宝塚ファンのエッセイマンガ『ZUCCA×ZUCA』(はるな檸檬)は女子ウケしそう。作者は、東村アキコさんのアドバイスを受けて描いたんだとか。「モーニング」の島田英二郎編集長はがんばってるね。読み切りや若手作品を多く掲載している同誌を立ち上げたのも島田編集長。新しい読者層を開拓しようという姿勢がうかがえる。

B 「週刊少年マガジン」(同)で06年から連載している『FAIRY TAIL』(真島ヒロ)は、連載開始当初からライバル誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)の『ワンピース』の「パクりでは?」とネットで陰口叩かれながらも、いつの間にか累計2000万部以上の大ヒット作に成長してるね(笑)。

D 開き直り勝ちだよなあ(笑)。

C 10年末発売された『このマンガがすごい! 2011』(宝島社)のオンナ編で1位2位を独占して話題になったヤマシタトモコさんはどう? 「月刊アフタヌーン」(講談社)で『BUTTER!!!』とか連載中だけど、「そこまで売れるほどのものか?」って思う。同じくBL系の作家さんで、「月刊IKKI」(小学館)に『Golondrina ゴロンドリーナ』を連載してる”えすとえむ”さんも、注目されてるけどどうなんだろう。サブカル好きな書店さんにフィーチャーされて、売れてるように感じるだけな気も……。

D ところで、マンガ家さんがツイッターで発言することについてはどう思う? 「週刊少年ジャンプ」で『BLEACH』を連載してる久保帯人さんが、10年8月、ツイッターでファン相手に「もしBLEACHよりも面白いものが描ける才能があるなら、すぐにマンガ家になるべきだ」と挑発する発言をして話題になったけど。

A 自由にやればいいんじゃない? ツイッターやブログでうまくストレスを発散してるマンガ家が増えていいと思う。以前は、ひたすら閉じこもって描いて、ストレスをためてためて一気に爆発する人もいたからね。

D ツイッターで唯一やめてほしいのは、「今締め切りギリギリです」とかいうつぶやき。それを見たほかのマンガ家さんが「この人がまだ大丈夫なら、俺も大丈夫」って思っちゃう(笑)。

C 最近は、アシスタントが生意気でストレスをためてる人が多いよね。昔は先生に憧れてアシになる徒弟制だったけど、今はドライな”プロアシ”が増えて、「アシが生意気で逆らってくる」とか愚痴ってる。

A マンガ家さんによっては、編集者とそりが合わないこともよくある。09年に『ブラックジャックによろしく』の原稿料をめぐって、自分のホームページに「モーニング」編集者の悪口を書きまくった佐藤秀峰さんは、今、「週刊漫画TIMES」(芳文社)に『特攻の島』を連載してるけど、噂によると、担当編集者とは一切会わないらしい。今年「漫画アクション」(双葉社)で始まった、マンガ家を主人公にした『ボクマン』の原作も、作画の一色登希彦さんと契約面で折り合いがつかなかったとかで勝手に降りちゃったみたいだし、プロとしてどうなのと思うよ。まあ作品を読むと、マンガには真摯に向き合ってる気迫を感じるから、担当編集としては許せるのかな? でも、あんなに毎回毎回揉める作家なんて、正直いやだな。絶対胃が痛くなる。

■『宇宙兄弟』映画化で小栗旬がモメた!?

D「週刊少年マガジン」で4月から連載が始まった久保ミツロウの『アゲイン!!』は面白いね。『モテキ』の映画化も大成功したし、ノッてる作家さんのひとり。

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最終更新:2011/11/22 10:30
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