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スカイツリー効果がゼロだった東武の株価

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スカイツリー効果がゼロだった東武の株価 – Business Journal(6月8日)

post_238_20120610.jpg東京タワーにはある”ムード”が、スカイツリーには
ないんだよな〜。(「Thinkstock」より)

 超高層ビルが建設されるとバブルが崩壊する、との”都市伝説”がある。

☆1929年、米国でエンパイア・ステート・ビルディング(高さ443m)が着工された後に世界恐慌が起きた。
☆1998年、マレーシアでペトロナスツインタワー(同452m)が完成する前にアジア通貨危機が発生した。
☆2010年、アラブ首長国連邦のドバイでブルジュ・ハリーファ(同828m)が完成する前にドバイ・ショックに見舞われた。
☆2012年、日本で東京スカイツリー(同634m)が完成する前に、東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故の国難が起きた。そして開業と同時に国債バブルの崩壊が始まった。

 東京スカイツリーは5月22日に開業した。新聞&テレビはスカイツリー・フィーバーだ。外国メディアは、その熱狂ぶりに興味津々で、AP通信は「(展望台行きのエレベーターの)切符を買うために人々が1週間以上並んだ、との報道もある」と伝えた。

 ところが、周囲の興奮にもかかわらず、運営主体である東武鉄道(根津嘉澄=よしずみ=社長)の株価の”ツリー(吊り上げ)効果”はゼロだった。

 開業当日、同社株の終値は3円(0.78%)高の389円。「ご祝儀相場」とは程遠い、静かな取引だった。その後、株価は続落。25日には、一時、前日比7円安の371円まで下げ、年初来の安値を更新した。

 東武鉄道は4月末、13年3月期の業績見通しを公表した。家族4人で1万円を超える超割高な入場料収入や商業施設「東京ソラマチ」の賃貸収入が寄与することから、売上高は前期比5.1%増の5710億円、営業利益は同15.1%増の375億円、純利益は同12.4%増の180億円に押し上げられると説明した。

 しかし、純利益はアナリストたちが事前に予想していた平均(コンセンサス)を20億円下回ったことから、株価の動きは極端に鈍った。3月23日の年初来高値(454円)から、5月25日の同安値(371円)まで18%下落した。

 総事業費は1430億円。東武が予測した年間の来場者数は3200万人で、東京ディズニーリゾートの年間来場者数2500万人を上回る数字だ。開業から6日間(22-27日)で早くも来場者数が100万人の大台を突破。142万4000人に達した。ツリーの年間の経済効果は1700億円とはじき出された。経済メディアは、初年度のスカイツリーの上乗せ効果は、売上高で360億円、営業利益で100億円程度と試算した。

 前景気にあおられて、株式市場はツリー効果に大いに期待したが、まったくの空振りに終わった。株価は年初来高値から同安値まで、時価総額にして892億円が消えた勘定だ。東武自身が「息の長いビジネス」と言う通り、スカイツリーは短期的に大きな収益をもたらすわけではない。

 ところで、ツリー開業の22日、欧米系の格付け会社、フィッチ・レーティングスは、日本国債を一段階引き下げ、「シングルAプラス」とした。約9年半ぶりの引き下げで、スロバキア、エストニアと同水準となった。株式市場ではスカイツリーより、こちらの負のインパクトの方が格段に大きかったようだ。超高層ビルが建設されるとバブルが崩壊するという、”都市伝説”が現実味を帯びてきたと解釈されたからだ。

 過去20年間、日本はGDP(国内総生産)が減り、株価はピークから8割下げた。そんな中で、唯一、価値を失わなかったものが日本国債である。長期金利は低下(国債の価格は逆に上昇)を続け、日本国債は最も運用成績(パフォーマンス)の良い金融資産だと、高い評価を得た。円独歩高→日本国債バブルである。歴史が証明していることだが、土地バブル、株バブルが崩落したように、バブルは必ず雲散霧消するものなのだ。

 フィッチの格下げを受けて、株価は低迷。日経平均は5月23日の大引けで172円安の8556円。再び安値圏に接近し、TOPIXは年初来の安値を更新した。

 野田政権の消費税引き上げ政策が頓挫すると、日本の財政赤字の肥大に歯止めがかからなくなる。その先には海外投資家、ハゲタカファンドの日本売り(日本株&国債の叩き売り)が待っているという最悪のシナリオだ。

 超高層ビルの完成とバブルの崩壊の、奇妙なアノマリー(変則的事実)。デジャ・ヴュ(déjà-vu、既視感・錯覚)であってくれ、と祈るのみである。
(文=編集部)

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最終更新:2012/06/11 07:00
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