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家元・立川談志が落語界に遺したものとは? 『立川流騒動記』立川談之助インタビュー

dannosuke.jpg談志のDNAを継ぐ立川談之助

 落語家の立川談志さんが亡くなって、はや10カ月が過ぎようとしている。

 その間、談志さんを振り返る書籍・DVDが多数発売されているが、今年6月「決定版談志本」と称し、ある1冊の書籍が発売された。その名は『立川流騒動記』(メディア・パル)。著者は、談志さんの弟子の一人である、落語家の立川談之助。談之助は1974年7月、立川談志に入門。当時、談志さんは参議院議員としても活動しており、談之助は談志さんの弟子兼私設秘書として3年間も国会に通うという、弟子の中でも異色の存在であった。

 高座でもその異色ぶりは発揮され、「トンデモ落語」と称される現代風の改作落語や新作落語を数多く発表。さらには本業の落語以外にもパソコンゲームや美少女ゲームのレビュー、宇宙人の本を執筆するなど、マルチな才能で落語界を駆け抜けるベテラン芸人だ。師匠・談志は談之助を、愛着を込めてこう呼んだ「邪道真打ち」と……。

 『立川流騒動記』は発売直後、落語ファンの間でまたたく間に話題となり、談志マニアの心をつかんだ。そんな「邪道真打ち」談之助にインタビューを試みた。

──出版のきっかけは?

談之助 前々から、うちの師匠のことは書こうと決めていたんですよ。私はドキュメンタリーものが好きなんで、自分が書くとしたらやっぱり「実録物」しかないかなと。友人の唐沢俊一さんの助言もあって、去年の春先から書き始めて、秋先には出そうじゃないかと。もともと唐沢さんからは『(談志が死ぬ前に)文章として功績を残しておこうじゃないか』と言われていたんですが、執筆の最中に師匠が死んでしまいまして。それまでは師匠に読まれたらマズいなと思って、5割以上のブレーキをかけていたんですが、『もう気にすることは何もない』と思い、全力でアクセルを踏みました(笑)。ほら、うちの師匠はほかの師匠と違って、怒ったらカネを取りますから(苦笑)。

──確かに『騒動記』はほかのお弟子さんの本と違って、資料的な意味でも楽しめました。

談之助 ウィキペディアの情報とか見ていても、間違いだらけで……。評論家の本なんかでも、間違っている部分が多いですから。もちろん、内部の話だから当事者でも真実の片側しか知らないものなんですが、三遊協会設立騒動(真打ち大量昇進制度に反発した六代目三遊亭圓生が、落語協会とは別に新たな協会を発足させた騒動)の時は、私はまだまだ前座の見習いみたいな存在でしたから、周りの動きを結構客観的に見られていたんですね。談志サイドにいても、「うちの師匠ひどいことするなぁ」と思っていたりね(笑)。落語家はどうしても我が強いものなんで、本当のことを書くと怒るんですよ。だから、圓生、志ん朝、圓楽、談志が生きていたら、ものすごいクレームの嵐だったと思いますよ(笑)。

──落語家さんからのクレームは来ていますか?

談之助 今のところないですね。我々は、面と向かって文句は言わないですから(笑)。でも、志ん朝師匠の弟子は怒っているでしょうね。ほら、この本で志ん朝唯一ともいえる汚点を書いちゃったから(笑)。

──確かにあのシーンは衝撃的でした。あのキチッとした志ん朝師匠とは思えない行動で……。

談之助 でも、私ウソは書きませんから(笑)。

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