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官邸前デモを総括!

「この社会情勢が続く限り、どこかでまた起こる」2カ月間の“お祭りデモ”とはなんだったのか? 

――9月14日のエネルギー・環境会議では、首相の口から「2030年代に原発ゼロ」という方針が打ち出され、国際原子力機関(IAEA)年次総会でも国際社会に発表されました。この政府の政策転換に対しても、官邸前デモをはじめとする一連の反原発デモの効力があったのでしょうか?

小熊 結果としてはそうでしょう。とはいえ、野田さんが当面気にしていたのは民主党内の脱原発派議員だったはずです。しかし、その数は絶対多数ではない。彼らも離党したら党内での影響力がなくなるから、あまり党の方針に反することを大声では言えない。でも、そういう議員たちが「官邸前に何万人もの人が来ています。これは聞くべきじゃないですか?」と圧力をかけられるようになった。少数派の議員集団が腹の底で思っているというレベルだったものが、声を大にして発言できるようになり、さらにそれを聞かなければならない雰囲気に動いていくというのは、デモや世論がなかったら起きないことです。もちろん、それは議会内だけを見ている政界記者たちに言わせれば、野田さんは原発と消費税とTPPとオスプレイの四正面作戦になってしまうのは避けたいから脱原発に傾いたのだとか、民主党がこれ以上分裂するのは避けたいから脱原発派の議員の主張を一部聞いたのだとか、いろいろ言うと思いますよ。でもそれは、議会内だけ見ていればそう見える、というだけのことであって、デモがなかったら動かなかったことですからね。

――一方で、この「2030年代に原発ゼロ」発言に対しては、具体的なプランが示されていなかったり、閣議決定が見送られるなど、本当に実現されるのか疑問視する声も多いですね。

小熊 繰り返しになりますが、今の日本は20年も経済低迷して雇用情勢も悪い、かなりまずい状態です。そのなかで、世論調査でも7~8割の人が脱原発を支持している。今年の夏は、原発を2基動かしただけで電力は足りてしまい、それが既成事実になってしまった。この情勢で、どんどん原発を推進します、なんて政策に簡単に戻れるはずがない。その結果としてゼロにすると決めたけれど、利害のある各方面の調整が難しい。だから、公式方針としては言えることが限定されるというのは、いいことだとは思いませんが、理解はできます。

 また現実には、ただちにすべての原発を止めた国なんてない。スウェーデンは1980年に2010年までに国内の12基を全廃すると決めたけれど、今のところ2基減っただけです。ドイツも2002年に「脱原発法」が制定され、2021年までに当時稼働中の17基を全廃すると決めたけれど、その後に稼働年数が延長された。福島の事故を受けて、やっぱり段階的にやめると転換しましたが、まだ紆余曲折があるかもしれません。ただ日本は、幸か不幸か本当に全部止まった状態を一度経験してしまったので、これらの国より早く脱原発する可能性も高いかもしれない。声を大きくしていけば、実現できるレベルだと思います。

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