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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.202

“余命刑事”が家族の絆と細菌兵器を奪回する! 究極の時間制限サスペンス『ブラッド・ウェポン』

bloodweapon2.jpgイケメン俳優として売り出したニコラス・ツェーだが、ダンテ・ラム作品で
すっかり汚れ役がハマるように。熱演のあまりこんな顔に。

 イカれた設定&展開をいとも簡単に吹き飛ばしてしまうのは、ハンパないアクションシーンの数々だ。冒頭のヨルダン編からどーかしている。ヨルダン政府軍が全面協力したこのシーンでは市街地でロケット砲が飛び交うわ、装甲車が大炎上するわ、戦争映画ばりのド迫力。このオープニングシーンだけで5億円を掛けている。お金に困っていたヨルダン政府軍は大喜びで、ロケ隊に対しあらゆる装備と火器類を自由に使うことを許可したそうだ。そのため実弾が飛び交っているようにしか見えない激しい銃撃戦となっている。治安の不安定なヨルダンでのロケ撮影というだけでもヤバいのに、ラム監督は「リアルな緊迫感が出ていいじゃないか」とハイテンションだったらしい。

 中盤からは母親のもとで幸せに育った弟ジョンと、博打好きな父親(リウ・カイチー)を見捨てることができずに犯罪稼業で喰い凌いでいる兄ヨウとの愛憎が渦巻くマレーシア編。首都クアランプールの繁華街でカークラッシュの連続に銃撃戦の撮影を敢行している。爆破されたバスの炎はビル4階の高さにまで達した。さらに高層ビル街では、マレーシア警察飛行部隊の協力により4機のヘリコプターが空中戦を繰り広げる。『西部警察』2時間SPの地方ロケを表参道や六本木周辺でやっちゃったようなもんか。こんな無茶な撮影を許可したマレーシア政府もどーかしている。ロケ撮影中、ラム監督は「アクション」の掛け声の代わりに銃を空に向かってぶっ放していたとのこと。怖くて、誰も逆らえないよ! ラム監督は香港や中国では絶対に撮れないような市街戦シーンを撮影できて、ひどくご満悦だったそうだ。

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