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テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2012年バラエティベスト3

■「どうした!?品川」は終わらない?

 7月26日に放送されたプレゼン大会で東野幸治により「俺の好きな品川(祐)じゃないんだよねぇー」と「どうした!?品川」がプレゼンされると、会場は爆発。瞬く間に評判になり、異例の速さで9月13日にその企画が実現した。

 番組では「品川祐ヒストリー」を「ギラギラ期」「調子ノリ期」「どうした期」に分けて紹介。その「顔」の変遷だけでも面白いが、何より興味深いのは、どんなに“成功”を収めても、その根本である過剰な自尊心と「カッコつけ」の部分だけはずっと変わっていないということが浮き彫りになっていったことだ。

「昔大好きやったんですよ。クソ生意気でね、自分が爆笑とったらドヤって顔して、他人が笑いとったら苦虫噛み潰したような顔をする。そういうハッタリ野郎が10年に一人はいてほしいのよ、個人的に」

 どんなにギラギラしていても、調子に乗っていても、脇役なのに主役ぶっていても、トークを横取りしても、そんなイビツさこそが、東野の愛すべき「芸人」像なのだ。

 東野幸治は歪んだ悪意と冷たい愛で、芸人から文化人然となった品川を口撃し、その瞬間ごとを無責任に笑う。その結果、品川が自ら切った髪を投げつけ、喜んでそれを浴びる芸人、自分も切ってくれと頭を差し出す庄司、切って投げる品川……という『アメトーーク!』史上に残る爆笑と感動が伴う名シーンを生み出した。

 「お前らも『どうしたんだ!?』予備軍だからな!」と品川が叫んだように「どうした!?品川」はそのまま「どうした!?芸人」と置き換えることが可能だ。『テベコン』の「コウメ企画」も本作も、“芸人の業”や“芸人の存在そのもの”を問いかけ、そのまま芸人批評となっていた傑作だった。

 ちなみに10月15日放送の『検索ちゃん』(テレビ朝日系)では伊集院光が口火を切り、「続・どうした!?品川」とも呼ぶべき攻防が繰り広げられ、この企画は波及していった。「どうした!?品川」は終わらない。

 
■総評~芸人はネタのオモシロさより人間力?~

 上記以外でも『ガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)の、特に上半期のアナーキーっぷり(「田中破天荒 我が田中」「なんやねん50人斬り」「固まり王」など)は特筆すべきものだった。加えて『ゴッドタン』や『怒り新党』(テレビ朝日系)、『みなさんのおかげでした』など、もはや定番となったお笑い番組が、その勢いがとどまることもなく面白かった。しかし一方で、番組単位で2012年を象徴するような、突出した新たな番組はなかったように思う。いわば、これまでの番組が“深化”していったのが2012年だった。

 そして『キングオブコント』(TBS系)、『R-1ぐらんぷり』『THE MANZAI』(ともにフジテレビ系)など大型賞レース番組でHi-Hi、バイきんぐ、スギちゃんなど苦節の長い“ベテラン若手”が脚光を浴びたのが象徴するように、ネタのオモシロさはもとより、それ以上に「人間力」が重視される傾向は今年も強まった。その流れはこの年末、ずんの飯尾がクローズアップされているように、今後もしばらく続いていくのではないだろうか。
(文=てれびのスキマ<http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

最終更新:2015/08/11 17:50
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