日刊サイゾー トップ > その他  > 流通界の異端、ドンキ創業者が社長復帰

ドン・キホーテ 、連続放火にオリジン買収など流通界の異端児…創業者が8年ぶりに社長復帰

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
矢部浩之・裕子夫妻、交通違反で警官と一触即発?警官の態度にイラついた矢部は…
日テレドラマ制作陣はオジサンばかり?何も期待できない『雲の階段』が押し付ける不幸
セクハラ幹部の愛人が自殺!?大手新聞社、警視庁へ根回し、遺族には金でもみ消し?

■特にオススメ記事はこちら!
ドン・キホーテ 、連続放火にオリジン買収など流通界の異端児…創業者が8年ぶりに社長復帰 – Business Journal(5月16日)

ドン・キホーテ 六本木店
(撮影:Momotarou2012
「Wikipedia」より)

 ドン・キホーテの連続放火事件から8年余。3人の死者を出した責任を取り社長を辞任した創業者の安田隆夫会長(63)が4月8日、社長に復帰した。「成沢潤治社長(50)が持病の治療に専念するため辞任を申し出た。緊急事態であり安田会長が対応する」と説明している。

 ディスカウントストア大手、ドン・キホーテ(以下ドンキと略)の創業者である安田氏は、流通業界に風穴を開けた風雲児である。半面、既存秩序を崩す希代のトラブルメーカーでもあった。店舗の周辺住民と、紛争やトラブルが絶えなかった。新しい店を出店するたびに、深夜営業に抗議する住民の出店反対運動が起きた。東京・六本木店の屋上に設置した絶叫マシーン「ハーフパイプ」の開業は、騒音を懸念する地元住民からの猛烈な抗議運動の前に断念に追い込まれた。

●ドンキ連続放火事件

 ドンキ・バッシングが頂点に達したのが、埼玉県さいたま市内にある店舗で相次いだ連続放火事件だった。放火されたドンキは被害者だったにもかかわらず、安田氏に非難の矛先が向かった。

 2004年12月13日のドンキ浦和花月店での放火は店員3人が焼死、8名が負傷する大惨事となった。この時は、寝具売り場で火事が発生。またたく間に商品へ燃え移り、店は全焼した。一度は店内から脱出したものの、「来店客が逃げ遅れていないか」の確認のため、再度、店に戻った3人のアルバイト店員が焼死した。

 安田氏は80年9月、ドンキの前身のジャストを設立。少量多品種の商品を安く仕入れ、デフレ経済のもと「低価格」「圧縮陳列」「深夜営業」を武器に急成長した。その原動力になったのが店舗全体をアミューズメント・パークのように演出する手法。店内には食品や日用品、時計・宝飾品、家電製品など約4万点を陳列。商品を天井近くまで積み上げた迷路のような店内で、欲しい商品を見つけ出すイベント性が、若い客から支持を得た。

 しかし、この大量の商品をジャングルのようにうず高く積み、陳列棚で通路を迷路のようにする「圧縮陳列」が、火災で店員が逃げ遅れた原因とみられたのだ。連続放火事件を受けて東京消防庁が都内のドンキ31店で実施した立ち入り調査でも、商品が通路をふさぐなど、計195件の消防法違反が指摘された。創業者の安田氏は、火災への対応を終えた後に、責任を取って社長を辞任。05年9月に会長に退いた。

 連続放火事件では、精神疾患で通院歴がある元看護師の女が逮捕された。ドンキ3店、スーパー4店の7件の放火容疑だ。女の責任能力の有無が争点になったが、裁判所は女の責任能力を認め、08年11月、無期懲役の刑が確定した。

 連続放火事件をめぐっては、詐欺事件も起きた。ドンキの元常務が遺族対応のコンサルタント費用名目で同社から3100万円を騙し取り、詐欺罪で逮捕された。11年10月、懲役3年6月の実刑判決を受けた。

●オリジン東秀乗っ取り事件

 安田氏は経営の第一線から身を引いたが、事業欲が衰えることはなかった。ネットバブル前夜、若いベンチャー起業家の集まる投資クラブ「B&Bの会」で鍛えた安田氏は、無類の株好きだ。弁当・惣菜チェーン、オリジン東秀(東京都調布市)の敵対的買収で経済界を賑わした。

 05年8月、オリジン東秀で経営陣と創業者遺族の間で内紛が勃発した。ドンキの安田社長(当時)が創業者遺族からオリジンの株式23.62%を取得、オリジン弁当を組み込んだ次世代コンビニエンスストアの事業化を提案した。しかし、オリジンの経営陣が、この提案に消極的だったため、ドンキは06年1月15日、オリジンに対するTOB(株式公開買い付け)を発表した。

 敵対的TOBに、オリジンの取締役会と従業員は反対を表明。ホワイトナイト(白馬の騎士)として名乗りを上げたのが小売業大手のイオングループだった。イオンは1月31日から1株3100円で友好的TOBを実施。イオンが提示したTOB価格がドンキより1株300円高かったことから、2月9日、ドン・キホーテのTOBは不成立に終わった。

 ところが、これにて一件落着とはいかなかった。ドンキが奇襲をかけたのだ。市場でオリジン株を追加取得して47.82%まで買い増した。この株式取得をめぐっては、証券市場から、灰色手法とのブーイングが浴びせられた。

 イオンによるTOB期間中に、ドンキがTOBに頼らずにオリジン株式を買い占めた手法に対してはルール違反との批判が相次いだが、安田氏は「TOBに関する規制は立法過程にあり、現行のルールは守っている」と、こうした批判を突っぱねた。金融庁はTOBのルールをクリーンにするために、TOB期間中に買収される予定の企業の株式の3分の1超を保有する別の会社が、被買収企業の株式を買い進めることを禁止し、TOBに応じるよう義務付けた法案を国会に提出する準備を進めていたからだ。法案が成立すれば、ドンキのやり方は“違法”ということになっていたわけだ。

 その後、イオンの岡田元也社長と安田氏のトップ会談で、イオンが実施中のTOBにドンキが応募することで決着がついた。結局3月31日、TOBが成立。イオンはオリジンの株式全体の96.67%を取得して子会社に組み入れた。取得総額は525億円だった。

 ドンキによるオリジンの乗っ取り劇は、当初から、マネーゲームと見る市場関係者は少なくなかった。過半数超えまで株を買い増すことは可能だったが、一転してTOBに応じたのは、もともとマネーゲームで利ザヤを稼ぐのが狙いだったとみられていたからだ。保有株をイオンに売却して、ドンキは子会社の分と合わせて約57億円の売却益を得た。オリジン株式を3.6%保有する安田氏個人は、20億円で売却し、5億円の利益を手にした。

 安田氏は、もっとしたたかだった。07年11月、関東圏では最大級のショッピングモールであるイオンモール千葉ニュータウン店に隣接して新棟がオープンしたが、その1階に核店舗としてドンキが入居した。

 ドンキのイオンモールへの出店はこれが初めて。オリジンのTOB合戦の最中に、出店交渉を行っていたことになる。イオンのTOBに応じる代わりに、イオンモールへの出店を認めさせたのだろうか。

 抜け目のない、したたかな商売人であることを、この事実が裏付けた。そして今回、その安田氏が社長に復帰した。ドンキは、どんな嵐を巻き起こすのだろう。
(文=編集部)

■おすすめ記事
矢部浩之・裕子夫妻、交通違反で警官と一触即発?警官の態度にイラついた矢部は…
日テレドラマ制作陣はオジサンばかり?何も期待できない『雲の階段』が押し付ける不幸
セクハラ幹部の愛人が自殺!?大手新聞社、警視庁へ根回し、遺族には金でもみ消し?
預金保険機構から銀行などへ還付金1200億円! 一般預金者に還元されないのはなぜ?
渋谷の地下火災は祟りと怨念が原因か 東急・副都心線直通で「渋谷はこれから呪われる」

最終更新:2013/05/18 07:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真