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今月の「サイゾー」第一特集は「ファッションタブー事情」!

新勢力の台頭から二極化まで――ファッション業界最新事情

【サイゾーpremium】より

──流行の速度が加速し、スクラップアンドビルドが繰り返されるファッション業界。ここ最近ではユニクロの就労問題や女性ファッション誌の新創刊が話題になっているが、そんな業界の最新トピックスを専門紙編集長、現役アパレル社員らの弁から見ていこう。

1307_tobira_01.jpg(写真/石黒淳二 go relax E more)

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【TOPICS 01】相次ぐ女性ファッション誌創刊
『DRESS』の創刊号広告収入
2億5000万円

■新陳代謝が激しい女性誌の活路
「講談社の女性誌『Grazia』『GLAMOROUS』が8月号で休刊予定の一方で、4月には『DRESS』(gift社)が創刊。今後も『MAMA MARIA』(光文社)、『GOLD』(世界文化社)と、アラフォー以上の女性を対象としたファッション誌の創刊が続く。また、『LEON』『OCEANS』の創刊に参画した干場義雅氏の監修で『Sette mari』という新雑誌も9月上旬に晋遊舎から発行予定」(都築氏)。こちらは船旅をテーマに、成熟したカップルを対象としたライフスタイル誌となる。

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【TOPICS 02】都市型ショッピングセンターの好調
ららぽーとTOKYO-BAYの年間来客数
2500万人

■勝敗が明確になったショッピングモール
苦戦が続く百貨店、一部で人気に陰りも見え始めたアウトレットに対し、2006年9月の開業後リニューアルなども経て集客を伸ばし続ける『ラゾーナ川崎プラザ』や、年間来客数約2500万人を誇る『ららぽーとTOKYO-BAY』など、三井不動産の都市型ショッピングセンターが好調。「丸の内南口前に3月21日に開業した『KITTE』、6月21日にグランドオープンが迫る『MARK IS みなとみらい』などの施設を手がける三菱地所にも注目」(都築氏)だという。

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【TOPICS 03】環境保全社会貢献の動きが加速
ケリングが発表した12年度の日本の売上高
1506億円

■PPRの社名変更に見る経営戦略
グッチ、サンローランなどを傘下に持つフランスの巨大ファッション企業組織・PPRグループが、社名をケリングに変更。「(健康を意味する仏語の)社名通り、環境などを大切に“ケア”する企業文化を打ち出し、女性支援なども含め社会貢献の姿勢を強めています。ロックバンド、U2のボノ夫妻が手掛ける『EDUN』はケニアやンド生産のオーガニックコットンのウエアで有名だが、『寄付ではなく産業を』という新たな考えのもと、アフリカやインドでの持続可能なビジネスモデルの創出を目指しています」(都築氏)

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【TOPICS 04】止まらない二極化とコンテンポラリーブランド
12年の全国百貨店売上高
約6兆円

■経済状況を反映する各ブランドの“次の一手”
「百貨店の利用者の高齢化、若者はファストファッションへ……という流れに対抗し、20~30代を百貨店に呼び戻す起爆剤となっているのが“コンテンポラリーブランド”」(都築氏)。コンテンポラリーブランドとは、個性が明確なデザイナーブランドでありながら、手の届く価格設定のブランドのことで、「シーバイクロエ」「マーク BY マークジェイコブス」など、ラグジュアリーブランドのセカンドラインもこれに該当する。

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【TOPICS 05】「中国離れ」と途上国のトラブル
バングラディッシュ縫製工場倒壊の死者数
1000人以上

■ファストファッション隆盛の光と影
中国以外に製造拠点を分散してリスク回避を図る“チャイナ・プラス・ワン”の戦略は以前から業界のトレンドで、「中国国内の人件費の高騰などにより、その動きが加速。ベトナム、ミャンマー、バングラデシュなどに製造拠点を移すメーカーが増えた」(ラグジュアリーブランド社員)が、今年4月にはバングラデシュでアパレル工場などが入ったビルが崩落し、1000人以上が死亡する事故も発生。生産体制、安全面の整備や児童労働の問題の解決なども求められている。


 ファッション業界では、世相に反して明るい話題が多いようだ。WWDジャパン・WWDビューティ編集長 都築千佳氏は「写真家・蜷川実花氏が責任監修を務めるムック本『MAMA MARIA』(光文社)、45~52歳の女性をコアターゲットにした新雑誌『GOLD』(世界文化社)などが今秋に創刊予定。また、『SPUR』(集英社)を含む集英社女性9誌が青山学院大学構内でイベントを開催したり、『STORY』(光文社)が独自ブランドを展開し、ウェブ連動の通販マガジンの単月売上が1億円を超えるなど、広告や実売以外で収益モデルを構築する雑誌も出てきています」と語る。

 また都市型ショッピングセンターも「ラゾーナ川崎プラザ、ららぽーとなどは集客も好調のようですし、この6月に開業のMARK IS みなとみらいも注目を集めるはず。家族でゆったり時間を過ごせる都市型ショッピングセンターは、ファミリー層から支持を集めている印象」(都築氏)と、堅調だという。一方で、”安定物件”と見られていたアウトレットには陰りが見えているようだ。

「安定した数字を持っているアウトレットは、御殿場と神戸三田くらい。オープンしたばかりの酒々井は、早くも集客が伸び悩んでいるようです」(ハイブランド社員)

 百貨店も年配の富裕層以外の客離れが加速する中で、コンテンポラリーブランドの強化などを行っているが、売り上げを支えているのは一部のハイブランドだという。

「男性のスーツを例にとっても、売れているのはトムフォードやブリオーニなど、一着が50万円もするような本当に高いブランド。宝飾品を中心にハイエンドのブランドは好調のようですが、フェラガモなどのミドルレンジのハイブランドは苦戦しています」(同)

 やはり”消費の二極化”の傾向は根強く、ファストファッションに注目が集まるが、ハイブランド側は「芸術・文化支援や環境保全などに力を入れることで、新たな価値観を創造するブランドが増えています。グッチなどを擁するPPRが社名をケリングに変更し、グループ全体で社会貢献活動に力を入れているのは、その代表例。ヨーロッパには”ノブレス・オブリージュ”という、『富める者は貧しい者、弱い者を助ける』という文化がありますから」(都築氏)と、価格競争とは別の活路を見いだしている。

 市場競争に勝ち残るだけでなく、文化を成熟させることも、ファッション業界の役目だろう。本特集では、ビジネス的視点のみならず、文化や歴史など多角的に現代のファッション業界を見ていこう。

(取材・文/古澤誠一郎)

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最終更新:2013/06/23 09:30
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