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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第31回

テレビの危機を脱出する『リアル脱出ゲームTV』という解答

 続いての謎男から「爆弾の解除コードを示す暗号」として出題された問題も、また難題だった。

『こうこえひ/たのとえな/つはかのも/3×5→ 5×3』

 多くの視聴者参加型のクイズ番組の場合、参加のハードルを下げるため、難易度は低めに設定される。視聴者があきらめてしまったらチャンネルを変えられてしまうし、参加者が少なければ盛り上がらないからだ。参加させなければ意味がなくなってしまう。しかし、この番組は正解率1%前後と、難易度はかなり高い。

「すべての人が分かる、分かりやすいもの」よりも、「面白さ」を優先させればそのように高い難易度を設定するのは当然だ。なぜなら、分からなくても挑戦していること自体が面白いのだから。

 思えばこれは、テレビ番組のあり方そのものに問われるべき問題だ。ゴールデンタイムの番組の多くが、「すべての人が分かる、分かりやすいもの」になった結果、今、テレビがつまらなくなった、などと言われるようになってしまった。僕たちがかつてテレビに興奮したのは、そこに理解不能な自分たちの知らない世界が映し出されていたからだ。僕たちは「分からないもの」に釘付けになるのだ。『リアル脱出ゲームTV』の挑戦は、それを証明しようとしている。

 ちなみに2問目の問題は、いくら今解こうとしても不可能である。なぜなら、テレビのとある機能を利用した問題だからだ。まさにテレビ自体を遊び道具に使ったゲームなのだ。番組の最後には一番早く解答した視聴者に生電話。革新的な番組のエンディングが、「視聴者生電話」という昔ながらの牧歌的な手法というのもある意味皮肉だ。

そこで、クルマがプレゼントされるというサプライズがあった。そんなこと、一切事前告知はなかった。別に視聴者はクルマや賞品が欲しくてクイズに参加するわけではない。面白いから参加するのだ。

 視聴者をバカにせず、信頼し、向き合ったからこそできた『リアル脱出ゲームTV』。それこそがテレビの可能性を拡げるヒントであり、本当の意味で視聴者のための、視聴者参加型番組だったのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 18:05
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