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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.237

韓国では、大統領もヤクザも似たようなもの? 嫌韓流も楽しめる、裸の韓国人像『悪いやつら』

waruiyatsura01.jpgハウメニーいい顔ぞろい! 80年代の釜山を闊歩する『悪いやつら』のみなさん。彼らの顔を観てるだけで、ご飯が1升くらい進みそう。

 ホタテの貝柱のように、噛めば噛むほど味わい深いエキスがどんどん染み出てくる。韓国映画『悪いやつら』に登場する、コワモテな男たちの一挙手一投足から目が離せない。主演は『オールド・ボーイ』(03)『悪魔を見た』(10)の超演技派チェ・ミンシクと『チェイサー』(08)『哀しき獣』(10)で若手No.1の実力派に躍り出たハ・ジョンウという初顔合わせ。イタリアン・マフィアの実態に迫った『ゴッドファーザー』(72)や『グッドフェローズ』(90)、戦後復興期の日本人の生き様を活写した『仁義なき戦い』(73)を思わせる快作だ。韓国ならではの血縁社会を題材に、本能の赴くままに男たちが裏社会でのし上がっていく姿を、こってりジューシーにあぶり出している。

 『悪いやつら』は韓流映画ファンだけが楽しむにはあまりにももったいない。嫌韓流の方たちも拍手喝采したくなる、素っ裸の韓国人像が描かれている。ここまで韓国社会の内情をさらけ出し、エンターテイメント化してみせた作品はそうそうないだろう。中国から伝わった儒教文化の影響が根強く残る韓国は、法律よりも血の繋がりが優先される絶対的な父系血縁社会だ。さらに長幼の序が一族内だけでなく、あらゆる組織や集団の中でも定まっている。そんな保守的な社会の中で、底辺にいる人間が這い上がる手段は非常に限られている。小さいときからひたすら受験勉強に打ち込んで名門大学に入るか、ワイロを使っていい職場に潜り込むか、もしくは裏社会と結託するかぐらいしかない。

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