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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第33回

これが日本のアイドル!『SMAP×SMAP』の挑戦

 番組の後半に差し掛かった2日目のお昼。今年のメインパーソナリティは森三中、友近、オアシズ、椿鬼奴といった女芸人が務めていたが、番組内では光浦靖子、大島美幸、鬼奴、友近の母と随所に中継をつないでいた。そんな母親たちに向けてのサプライズドッキリに一役買ったのがSMAPだ。彼らが突然登場し、「ビストロSMAP」で母親たちをお客さんとしてもてなすというもの。当然のように歓喜する母親たち。それを見て、母親たちよりも早く真っ先に号泣したのが、鬼奴だった。

 鬼奴は女芸人の中にあっても、苦労人のひとり。おそらく彼女は目の前で歓喜する母親の姿を見て、本当の親孝行ができたと実感して、涙をこらえきれなかったのだろう。「どうした?」とアシスタント代行を務めていた今田耕司に問われた鬼奴は、言葉をつまらせながら答えた。

「だって……こんな華々しいことが……」

 それに対して、まさかのもらい泣きをする今田。

「不思議な涙やったわ~」

 みんなを喜ばせ、「不思議な涙」を誘発させる。これこそがアイドルの力ではないだろうか。

 中居はもとより、SMAPは決して歌がうまいわけではない。ダンスだって超一流とは言いがたい。よく欧米の歌手などと比較して「日本人はアイドルのヘタな歌で満足していておかしい。幼稚だ」などという言説や、それに対して「不完全な部分を愛するのがアイドルだ」という反論がある。だが、SMAPの前ではそんなことは全部どうでもよくなってしまう。歌がうまい/ヘタなんて関係ない。なぜなら、圧倒的なアイドルとしての表現力があるのだから。たとえば「Joy!!」を歌がめちゃくちゃうまい人が完璧に歌ったとしても、SMAPが歌う「Joy!!」にはかなわないだろう。中居ががなり声で「みんなで!」と叫び、「Joy!! Joy!!」と声を合わせ歌った時に押し寄せる多幸感に勝るものなんてないのだ。

 毎日のようにテレビに出続けながらも、「40分生ライブ」なんていう革新的でワクワクする企画に挑み続けるSMAP。かつて「素敵な夢を見させておくれ」と歌った少年たちが、僕らに素敵な夢を見させてくれている。自分たちが最強のアイドルであることを、汗まみれで証明し続けているのだ。そして草彅は収録後に語った。「まだまだ全然走れる」と。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 18:03
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