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お笑い評論家・ラリー遠田評『キングオブコント2013』かもめんたるが優勝した3つの理由

koc0923.jpg『キングオブコント2013』公式サイトより

 9月23日、コント日本一を決めるお笑いイベント『キングオブコント2013』が行われた。激戦を制して2,988組の頂点に立ったのは、岩崎う大・槙尾ユウスケの2人から成る「かもめんたる」。1本目のネタ「言葉売り」で923点、2本目のネタ「白い靴下」で982点という高得点を叩き出し、合計点で2位の鬼ヶ島と51点差をつける快勝。昨年3位だった2人が、悲願の優勝を果たした。

 かもめんたるのコントはなぜ面白いのか? その理由は大きく分けて3つある。まず、「芝居としての質が高い」ということ。昨今のお笑い界では音楽や歌を取り入れた変則的なコントもはやっているが、コントの基本はやはり芝居にある。かもめんたるのコントでは、2人の芸人が役者としてきちんと地に足のついた芝居をしている。

 設定や状況に多少奇抜なところがあっても、登場人物のキャラクターには現実味がある。性格や言動が面白おかしく誇張されてはいるが、それでも「こういう人、いるいる」と思わせてくれる要素が残されている。いわば、かもめんたるのコントでは、「人間」がきちんと描かれているのだ。それができるのは、鋭い観察力と確かな演技力の賜物だろう。

 第2に「深く刺さるフレーズがある」ということ。かもめんたるのコントでは、せりふの一言一言がナイフのように研ぎ澄まされている。4分のコントの中で、省いても構わない無駄なせりふが1つもなく、ネタがせりふを軸にして有機的に組み立てられている。その上、1つ1つの言葉に独自の視点が宿っていて、爆笑を引き起こす仕掛けが随所にある。

 どういう言葉が繰り出されるか読めないから、受け手は常にドキドキしながら次のせりふを待つことになる。すると、思わぬ角度から言葉が飛び出してきて、不意を突かれて笑ってしまう。でも、あとから振り返ると、その登場人物にはそのせりふを言う必然性がきちんとある。論理的な整合性はあるのに、せりふ自体は決して予測できない。かもめんたるのコントの独自性は、まさにこの点にある。

 第3に「ネタに深みがある」ということ。世の中に存在するコントのほとんどは、初めて見るときが一番面白い。2回目以降に見るときには、展開やオチがわかっている分だけ、どうしても楽しみは減ってしまうものだ。

 でも、かもめんたるのコントは何度見ても飽きない。コントの中で人間がきちんと描かれている上に、切れ味鋭いせりふがたくさん出てくるので、一度見ただけでは味わい尽くせないのだ。

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