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アスリート列伝 第1回

甲子園の激闘から7年……楽天優勝の立役者・田中将大が歩んだ軌跡

tanakam1025.jpg『田中将大 ~若きエース4年間の成長~』(小学館)

アスリートの自伝・評伝から読み解く、本物の男の生き方――。

 2006年夏の甲子園、決勝に駒を進めたのは、斎藤佑樹の早稲田実業と田中将大の駒澤大学附属苫小牧高校だった。延長15回にまで及んだ両校の戦いは1対1の引き分けで決着がつかず、翌日の再試合に持ち込まれる。結果、3対4で早稲田実業に軍配が上がった。

 早稲田大学に進学した斎藤に対して、田中は東北楽天ゴールデンイーグルスに入団。監督は、知将として知られる野村克也だった。

 今期・楽天イーグルスは球団初となるパリーグ優勝、日本シリーズ出場を果たした。田中は、この快挙の一番の立役者といって過言ではないだろう。開幕から24連勝という記録は、日本プロ野球史上初のものだ。

 あの甲子園から7年、いったい、田中はどのようにして成長をして、楽天を優勝へと導いていったのだろうか?

 プロ1年目から、田中は一軍のマウンドを任された。記念すべきデビュー戦となった3月29日の対福岡ソフトバンクホークス戦。「ビビらずに、どんな相手にも、向かって投げられたらいいなと思います」と意気込みを語ったが、結果は惨敗に終わる。1回2/3を投げて、6安打3奪三振、1四球で6失点。負け投手にこそならなかったものの、その内容はKOと呼ぶにふさわしいものとなった。

 だが、このKO劇には野村監督の思惑があったという。日本球界を代表する選手に成長すると判断した野村監督は、高卒ルーキーをあえて強力打線を誇る福岡ソフトバンクホークスとのアウェー戦に送り出した。抑えれば自信につながるし、もし打たれても這い上がってくるだろうという読みだ。結果、プロの洗礼を浴びた田中は、ルーキーシーズンに11勝を記録、新人王を獲得した。
 
「田中が投げると、負けていても不思議と逆転した試合が多かったように思います。野手は『ルーキーが頑張っているのだからなんとかしてやろう』と意気に感じていましたし、マウンド上で闘志を前面に出す投球スタイルはチームメイトを引き込む魅力がありました」(『楽天イーグルス 優勝への3251日』角川SSS新書)

 ルーキー時代の田中と同じ楽天のユニフォームを着ていたスポーツジャーナリスト・山村宏樹は当時を振り返り、こう表現する。田中という怪物ルーキーの存在がチーム全体のムードを盛り立てた。

 恩師・野村監督と共に、田中に影響を与えた人物が岩隈久志。楽天草創期を支えた選手であり、2012年にメジャーリーグに渡るまで、7年間をチームのエースとして活躍した。そんな岩隈の背中を見ながら若い時代を過ごせたことは、田中にとって大きな財産となった。

「私が入団したとき、岩隈久志さんという大エースがいました。ルーキーなのに生意気にも岩隈さんのことは意識していましたし、直接アドバイスを頂いたり、見て学んだりすることも本当に多くありました」(『田中将大 ~若きエース4年間の成長~』小学館)

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