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週刊アニメ時評 第56回

熱い? 寒い? 賛否両論の話題作『キルラキル』を斬る!

「まだ肌感覚でしかないのですが、視聴者のアニメ体験によって大きく感想が変わっているように思います。アナログ作画が大半を占めており、各作画監督の画風によって毎回絵のタッチが変わっていた90年代後半までにアニメにのめり込む体験をしていた視聴者は、本作の粗い作画を、懐かしさをもって受け入れているように思います。多少の強引さやこじつけをものともしない勢い重視の作風も、当時のアニメのテイストを思わせます。一方、デジタル作画時代に突入した00年代以降にアニメを見始めた世代の視聴者は、単に作画が汚く、ロジカルでない雑なシナリオの作品ととらえられている節もありますね」

 そう語る20代の彼もまた、「個人的に『キルラキル』は、ちょっと受け入れにくいところはありますね……」と、本作に対し微妙な評価を下す。

 ちなみに30代半ばの筆者の感想は、「『キルラキル』、イエスだね!」である。う~ん、やはり30代以上と以下で、本作の評価は分かれてしまっているのだろうか? 確かにここ数年のアニメはキャラクターデザインに対して忠実に作画することが喜ばれる傾向にあり、90年代までのアニメのように作画監督ごとのタッチの違いがそこまで出ることはなくなったし、シナリオも前後の矛盾がほとんどなくなり、安心して物語を楽しめるようにもなった。

 だが、かつてのアニメが持っていた独特の「ユルさ」や「作画スタッフの個性」が生み出す、なんとも言えない味わいが薄まってしまったことも事実である。『キルラキル』はそういう時代の作品が持つ、画面からにじみ出るパッションを再現しようとしているのではないだろうか。こんなことを書くと、若い読者からは老害扱いされそうだけれども。

 ともあれ、賛否両論を巻き起こすということは、それだけ多くの視聴者の注目を集めている作品、ということでもある。今後、本作がこの勢いをさらに加速させて天元突破してしまうのか。はたまた時代にマッチできずにスベってしまうのかは、じっくりと2クールの放送を見届けて判断するしかないだろう。
(文=龍崎珠樹)

最終更新:2013/10/27 11:00
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