日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 性の悩みは“セックスサロゲート”が解消する!? 映倫も迷ったR18指定の感動作『セッションズ』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.250

性の悩みは“セックスサロゲート”が解消する!? 映倫も迷ったR18指定の感動作『セッションズ』

sessions_03.jpg一糸まとわぬヘレン・ハントの演技は高く評価され、米国のアカデミー賞で助演女優賞に堂々ノミネート。まさに女優の鑑です。

 セックスサロゲートとしてのプロ意識の高いシェリルは、自宅に戻れば気のいい夫と年ごろの息子がいる主婦であり母親でもある。だが、マークとのセッションを重ねていくうちに、どうしようもなくマークに自分の心が揺り動かされていることに気づく。有料セラピーの一環であることをシェリルは自覚しているものの、ひたむきな愛情を全力で注いでくるマークに今まで感じたことのない愛おしさを抱くようになってしまう。お金や倫理観だけでは割り切れないのが、セックスであり愛情というものだろう。キャリア豊富なシェリルだったが、彼女も裸になって心を開けば生身の1人の女性。疑似恋愛のはずが、マークもシェリルもいつの間にか本気になっていた。2人はセックスの素晴らしさを痛感すると共に、肉体と心の結びつきの深遠さを知り、戸惑いを覚えることになる。

 欧州ではゆるいレイティングとなっているが(スウェーデン、デンマーク、ノルウェーでは年齢制限なし)、日本ではR18指定となった『セッションズ』。性描写に厳格な日本の映倫らしいレイティングだ。映倫の審査は2名1組の審査員が試写をチェックした直後にレイティングを配給側に伝えるのが通例だが、本作では2名の審査員の意見が一致せず、映倫全体で再度会議に掛けてからレイティングを慎重に決めたという経緯があった。日本での配給を手掛ける20世紀フォックス映画も重要なセッションシーンをカットしたり、ぼかしを入れるよりは……とR18指定を呑んだとのことだ。R18という年齢制限が適切かどうかは、観る人が自己判断で決めてほしい。

 射精は一瞬の快感だが、その後には心だけでなく体全体に人を愛するという温かい感情が満ちていくことになる。この尊いセッションは、チェリーボーイならずともぜひ体験してみたい。
(文=長野辰次)

sessions_04.jpg
『セッションズ』
原作/マーク・オブライエン 監督・脚本/ベン・リューイン 出演/ジョン・ホークス、ヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシー、ムーン・ブラッドグッド、アニカ・マークス、ロビン・ウェイガート R18+ 配給/20世紀フォックス映画 12月6日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー 
(c)2012 Twentieth Century Fox Corporation. All Rights Reserved. 
<https://www.facebook.com/FoxSearchlightJP>

最終更新:2013/12/05 14:40
123
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真