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大食い番組の新境地……『腹ペコ!なでしこグルメ旅』に見るテレ東の“矜恃”とは

harapeko.jpg『腹ペコ!なでしこグルメ旅』(テレビ東京)

 90年代後半から一大ムーブメントを巻き起こした大食い番組。火付け役であるテレビ東京の『元祖!大食い王決定戦』からは、ギャル曽根やジャイアント白田など多くの大食いタレントが生まれ、他局も競って大食い番組を放送した。

「タレントではなく素人をキャスティングすることで制作費を抑えられる上、視聴者の満足度も高かった大食い番組は、バラエティのいわば救世主のような存在でした。しかし2002年に番組を真似て給食の早食いをした男子中学生が窒息死し、大食い/早食い番組への批判が殺到、さらに2011年の震災における自粛ムードの波に大食いエンタテインメントはすっかり勢いを失いました」(テレビライター)

 そんな中、老舗テレ東から新たな大食い番組が生まれ、話題を呼んでいる。それがこの『腹ペコ!なでしこグルメ旅』。ギャル曽根をブレークさせるなど大食い素人のタレント化に長けた同局が、あえて大食い女性だけを招集。サッカーのなでしこJAPANにかけ「大食いなでしこJAPAN」として数々の企画に挑んでいる。過去にグラドルとして写真集やDVDも発売している三宅智子やアンジェラ・アキを彷彿とさせる風貌から命名されたアンジェラ佐藤、一口の大きさは他の追随を許さないロシアン佐藤など、『元祖大食い王決定戦』ではおなじみの面子が顔をそろえる。

「それまでの大食い番組と大きく異なるのが、出演者同士を競わせないところです。あくまで番組の軸はグルメ旅。たくさん食べた者勝ちというシンプルさはありませんが、たとえば激安商店街の大食い散歩、道の駅で人気一位のメニューを予想しつつ大食い、デカ盛り店主との三番勝負など、単体の企画としては既視感はあるものの、それを『大食いなでしこ』という枠で展開することで新しい面白さを見せている。いつもはライバルである大食いタレントたちがチームとして連携し、得意不得意をカバーし合うのもすがすがしい。また半分素人の出演者が多い大食い番組で重要な役割を果たすのがMCですが、ブラックマヨネーズという人選も絶妙でした」(同)

 『大食い王決定戦』の司会は「ギャル曽根」「アンジェラ佐藤」など多くの個性的なネーミングを生み出してきた中村有志が長く担当してきた。同番組の成功は、中村の冷静なツッコミとホスピタリティあふれる回しの技術に負う部分も少なくない。ブラマヨは中村が積み重ねた大食い回しの技術に加え、小杉は自ら大食い側に入りスケール感を分かりやすく視聴者に伝え、吉田は番組内での悪役に徹し、結果、大食いなでしこのヒーロー性を高めることに一役買っている。

「『腹ペコ!なでしこ』は大食い番組にとっての命綱である“リアリティ”をあえて脇に置いているようにも見えますね。ブラマヨというキャラクター性に富んだ2人が仕切ることで、一種サーカスを見ているような気持ちにさせられるんです。大食いってもともと、ファンタジーなものですから」(同)

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