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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.256

感染する“暴力”の恐怖『KILLERS/キラーズ』日本製殺人マシンとインドネシア産毒蛇の邂逅!

killers02.jpgサイコパスである野村(北村一輝)の監禁部屋には様々な凶器と拷問用具一式がそろっている。若くて美しい女性が野村のターゲットだ。

 ジャカルタパートの主人公はフリージャーナリストのバユ(オカ・アンタラ)。好景気に湧くインドネシアでは、お金を稼いだ人間が成功者として賞讃されている。金と権力にモノを言わせる街の有力者・ダルマの悪行をバユは暴こうとするも、逆に仕事を干されるはめに。激しいフラストレーションを抱えたバユは、ふとネット上で野村の殺人動画を見てしまう。常規を逸した映像にショックを受けるのと同時に、過激な映像を最後まで見たがっている自分がいることに気づいた。ある晩、深夜タクシーに乗ったバユはひと気のない場所に連れていかれ、強盗団から銃を突き付けられる。その瞬間、何かが弾けた。これは正当防衛だ。バユは奪い取った銃を強盗団に向けて発砲する快感に酔いしれる。チャットでコンタクトするようになる野村とバユ。野村は自分の仲間が見つかったとはしゃぐ。生まれながらのモンスターが潜在的なモンスターを目覚めさせてしまったのだ。

 インドネシアの伝統的格闘技シラットが全編にわたって炸裂するアクション快作『ザ・レイド』(11)が世界的大ヒットとなったギャレス・エヴァンス監督が製作総指揮。続編『ザ・レイド GOKUDO』を製作中のギャレスが本作の監督に推したのは、インドネシアの新進クリエイターコンビであるモー・ブラザーズ。食人一家を主人公にした『マカブル 永遠の血族』(09)で長編デビューを果たしたティモ・ジャヤントとキモ・スタンボエルという若手2人組だ。ティモはギャレスとの共同監督名義で『V/H/S ネクストレベル』(1月24日公開)の中でカルト宗教団体の集団自死事件を題材にした凶烈エピソードを撮っている。相方のキモは中田秀夫監督の『リング』(98)をはじめとする日本映画に多大な影響を受けたと話す。日本とインドネシアとの初合作プロジェクトを進めたのは、日活の千葉善紀プロデューサー。園子温監督の大ブレイク作『冷たい熱帯魚』(11)や今年の映画賞レースを賑わす実録犯罪映画『凶悪』(13)などの問題作を次々と放っている要注意人物だ。野村とバユ同様に非常に危険な顔合わせとなっている。

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