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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.258

SMマニアとSF愛好家との深くて親密なる関係性、壇蜜主演の特撮コメディ『地球防衛未亡人』

cbmiboujin03.jpg精神科医(モト冬樹)のカウンセリングを受けていたダン隊員の様子がおかしなことに……。三島文学へのオマージュシーンです。

 振り返ってみれば、特撮の世界はフェチズムでいっぱいだ。『ウルトラマン』ではフジ隊員が巨人化(ジャイアンテス)し、子どもたちを妙な気分にさせた。『ウルトラセブン』の人気ヒロイン・アンヌ隊員はサイズの小さい隊員スーツを着せられ、いつもムチムチ感を漂わせていた。そんなアンヌ隊員の個室に忍び込んだペガッサ星人はアブない宇宙人だった。『仮面ライダー』に登場するショッカーの怪人・蜂女のおっぱいを見て、うずまきフェチに目覚めた男子も少なくない。『仮面ライダーストロンガー』のミニスカ姿で戦う電波人間タックルの弱々しさには背徳感が満ちていた。SMの世界とSFワールドは人間の深層心理の部分で深く太く繋がっていることが分かる。

 精神分析の結果に落ち込み、呑んだくれていたダン隊員だったが、ある言葉に勇気づけられる。「変態だっていいじゃないか。だって人間だもの」。そう、生きている人間は誰もが何かしらの変態なのだ。ただ自分の変態性に気づいていないか、気づいていないふりをしているだけ。世間の常識とは多数派の変態たちの見解にすぎないことを『地球防衛未亡人』はやんわりと教えてくれる。変態であることを含めて自分のアイデンティティーを受け入れたダン隊員にとって、もはや怪獣は恐るべき存在ではなくなっていた。怪獣と、壇蜜と、そして三島由紀夫、みんなちがってみんないい。
(文=長野辰次)

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『地球防衛未亡人』
プロデューサー・脚本・監督/河崎実 ユニフォームデザイン/藤原カムイ、怪獣デザイン/麻宮騎亜 特撮/特撮研究所 出演/壇蜜、大野未来、福田佑亮(超特急/ユースケ)、福本ヒデ(ザ・ニュースペーパー)、ノッチ(デンジャラス)、沖田駿一、モト冬樹、堀内正美、森次晃嗣 配給/トラヴィス 2月8日(土)より角川シネマ新宿ほか全国順次公開 
(c)2014「地球防衛未亡人」製作委員会 
<http://cbm-movie.com>

最終更新:2014/02/06 21:00
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