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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.264

戦争映画の悲劇のヒーロー像にNOを突き付ける! 戦場で生き残る恐怖と痛み『ローン・サバイバー』

lonesurvivor02.jpg潜伏中の森の中で山羊飼いたちと遭遇してしまうマーカス(マーク・ウォールバーグ)たち。彼らを解放すれば、タリバン側に所在を知られてしまう。

 ひとまず3人の山羊飼いを拘束したマーカスたちだったが、その対応の仕方をめぐって4人の意見は紛糾する。口封じのために山羊飼いたちをこの場で殺すか、木に縛り付けて放置するか(日没後に凍死するか野獣に食べられる)、釈放してタリバン兵と戦うか。選択肢はその3つしかなかった。マーカスは「彼らは民間人だ。釈放するべき」と正論を唱え、アクセルソンは「彼らは射殺する。俺にとっていちばん重要なことは4人で無事に帰還することだ」と反対意見を主張する。4人の生命を左右する重大な判断はマーフィー大尉に託されることになる。

 撤退することを余儀なくされたマーカスたちだったが、さらなる決断が求められる。土地勘がまるでない中、どこへ逃げるのか。タリバン兵たちの追撃を受けにくい場所へ逃げるのか、それとも基地と連絡がとれる可能性がある山頂を目指すのか。これもまた難しい判断だ。だが、悩んでいる余裕はない。予想以上にタリバン兵がマーカスたちに追いつくのが早かった。逃げ場のない崖っぷちでの抗戦を強いられる4人。死を恐れないタリバン兵と「仲間を守るためなら、自分の生命は惜しくない」という信念を持つシールズとの凄まじい銃撃戦が始まる。

 世界最強を自認するマーカスたちだったが、4人vs.200人はあまりにも多勢に無勢すぎた。マーフィー大尉の「撤退だ」という指示のもと、断崖から飛び降りるはめに。岩場に叩き付けられ、マーカスたちの骨は砕け、まともに動けなくなる。さらに崖の上からタリバン兵は容赦なく銃弾の雨を降らす。マーフィー大尉が決死の覚悟で衛星電話での基地とのコンタクトを試みる。ついに救援のヘルコプターが颯爽と登場した。だが、信じられない光景が次の瞬間に広がる。着陸地点を探していたヘリコプターがタリバン兵の放ったロケット砲を浴びて撃墜されてしまったのだ。マーフィー大尉も通信兵のダニーも山羊飼いをめぐって口論となったアクセルソンも血だらけの肉塊と化し、ヘリに乗っていた16名も全員戦死した。そしてマーカスだけが戦場にたったひとり取り残されてしまう。

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