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祝10周年記念インタビュー

「“不謹慎”のボーダーラインが、どんどん下がってきている」虚構新聞社主が語る、ネット社会10年の変化

――こういったユーザーの出現のほか、この10年間でネット上の雰囲気に何か変化を感じますか?

「いわゆる“不謹慎”のボーダーラインがどんどん下がっている気はしますね。例えば、事故死に関する記事を書けば、それが架空の人物であっても『ウソでも誰かが死ぬなど書いてはいけない』という声は上がりますし……。それだけ、ネットというメディアが、テレビをはじめとしたメディアと同様に一般化してきた証拠でもあるんでしょうけれど」

――確かに「ネトウヨ」や「マスゴミ」「情弱」など、ネット上のスラングがテレビなどでも頻繁に聞かれるようになりましたね。虚構新聞は右寄りといわれることもありますが、どういったスタンスで記事を作っているんですか?

「確かに、長らく民主党政権をネタにしてきた経緯もあって、そう言われた時期もあったのですが、右だろうが左だろうが、変なことをやっていたらネタにしています。『女性手帳』(http://kyoko-np.net/2013051401.html)とか、ブラックな某議員とか、面白そうな記事になるのであれば、政治的スタンスなどはどうでもいいです。表現上の注意を挙げるなら、そういう政治的に極端に偏った勢力が喜んで飛びついてくるような記事は書かないです。逆に見出しで飛びつかせて、内容は真逆にするような仕掛けを入れたりはしますが」

――虚構新聞の「風刺」に、タブーはあるんですか?

「『この話題はタブーだから避けよう』と思ったことはないです。ただ、タブーだからあえて踏み込むというわけではなく、まずは記事として面白くなるかどうかが最優先事項です。『タブーを破るから面白い』というのは安易すぎるかなと。そう思っていた時期もありましたが、年を取って多少考え方にも変化が出てきましたね」

――少し話しが変わりますが、ここ最近、2chまとめサイトへの転載禁止が波紋を広げています。虚構新聞の記事も、こういったまとめサイトにたびたび転載されていますが、今回の騒動をどう見ていますか?

「いろいろまとめサイトを見て回っていますが、どこも苦労しているなあという印象です。もともと管理人のキャラを売りにしていたところは、そのままその個性を生かして別の道を歩んでいけそうですが、単に転載と編集だけで煽っていたようなところは、それまで名前すら明かされていなかった管理人が急に表に出てこざるを得なくなって、しかもコメント欄に『お前誰だよ』的なことが書かれているのを見て、なんだか哀愁のようなものを感じましたね。このまま転載禁止が続くなら、無個性なまとめサイトは淘汰されていくのではないでしょうか」

――そもそも、彼らキュレーター(管理人)と虚構新聞のようなクリエーターとの間に、幸せな関係はありえるのでしょうか?

「本紙の記事の中にも、そういうキュレーターの目に留まって広まったものが少なくないので、多くの人に読まれたい/見られたいというクリエーター視点からすれば、ポジティブな方向での共生関係は十分あり得ると思います。ただ一方で、それが負の方向に働くと、私人を晒し上げ、ネットリンチになるので、そのあたりはキュレーターの倫理観に依存するしかないでしょうね。ただ、今まで見てきた中では、ネット社会においてもなお“因果応報”“人を呪わば穴二つ”という言葉は生きているように思います。“明日は我が身”かもしれませんが……」

――虚構新聞として、今後やりたいことはありますか?

「私としては、読者に楽しんでもらえればそれで十分です。ただ、サイトを通じた収入があることも確かなので、これを元手に2020年の東京五輪までに東京支局を作って、五輪の観光がてら見に来てもらえるような場所が提供できればいいなとは思っています。どこかビルの一室から電光パネルで『速報:男子やり投げの槍が、投てき中、場外まで飛び出たので頭上に注意!』とか、どんどん流していければ楽しいですね」
(構成=編集部)

最終更新:2014/03/25 15:00
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