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最長44年ぶりの新アルバムも……「待たせすぎた」レジェント・ミュージシャンたち

漆黒の「ノワールソウルミュージック」The Afghan Whigs

16年ぶりのニューアルバム『Do to the Beast』

 「ベイシティーローラーズがブラックフラッグに犯されてるような音楽を作りたいんだ」と、カートコバーン自身が言ったように1990年代にNIRVANA、PEARL JAM、SOUND GARDENといったバンドによって一大センセーションを巻き起こした音楽ジャンル「グランジ」は、その音楽的なルーツをラジオフレンドリーなポップミュージックに置いていた。そんな中、唯一といっていいほど自らの音楽性の源をスタックスやモータウン、フィリーソウルといった黒人音楽に求めたのが、グレッグ・デュリ率いるThe Afgan Whigsだった。

 歌詞の世界観においても、グランジが得意としたパンク直系の激情とニヒリズムとは一線を画した、極めてフィルムノワール的なセクシャルなラブソングを唄っており、当時異色のバンドとして人気を博していた。

 しかしグランジの衰退とともにバンドも解散、リーダーのグレッグ・デュリはその後ソロや新しいユニットで活動していた。その後、2012年になると再結成、去年の夏から半年をかけて制作されたのが、来月16年ぶりにリリースされるニューアルバム『Do to the Beast』である。

 先行で解禁されたMV「Algiers」でも明らかなように、ノワールソウルミュージックとでもいうべき彼等独自のサウンドは健在。アルバムに収録されている他の楽曲も、映画『エンジェルハート』のようなブードゥ教をテーマしたもの、メキシコ・マタモロスでの大量殺人事件をテーマにしたものなど見事に「漆黒」。発売後の日本でのライブなども待たれるところだ。

The Afghan Whigs – Algiers [OFFICIAL VIDEO]

 16年から44年まで、途方もない年月を経て制作されたこれらの作品を聴いて驚くのは、アーティスト達の変わらなさである。むしろ若い時代に制作された作品よりも、そのテーマが「結晶化」され、より力強いロックミュージックとして鳴っているように思える。

 それは若かりし頃、彼等を捉えた刹那の正体、年齢と共に時代と共に朽ちていくかのように思われたその「一瞬」が、実は普遍性を持つ「永遠」であった事を再発見した、彼等自身の歓びの音なのかもしれない。

■ターボ向後
AVメーカー『性格良し子ちゃん』を率いる。PUNPEEや禁断の多数決といったミュージシャンのMVも手がけ、音楽業界からも注目を集めている。公式Twitter

最終更新:2014/03/28 09:00
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