日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 狙いは医療費抑制か――日本人間ドック協会の「新基準」で健康な人が増える!?
週刊誌スクープ大賞

狙いは医療費抑制か――日本人間ドック協会の「新基準」で健康な人が増える!?

 私事だが、長年血糖値が高くて定期的に医者に通って計ってもらっている。先月行ったら主治医から、今度基準値が変わったと言われた。

 HbA1c(検査の日から1~2カ月前の血糖の状態を推定できる値。正常値は4.3~5.8%で、6.1%以上であればほぼ糖尿病型と判断してよいことになっている)が、国際的に使用されている新しいHbA1c(NGSP)値になるというのだ。

 これまでのHbA1c(JDS)値と比べおよそ0.4%高くなるが、心配しないようにと言われた。

 高くなっても心配ないというのはなんだか変な気持ちだが、ポストがそのへんの「事情」を巻頭特集で説明してくれている。

 ポストによれば、これまでは上(収縮期血圧)が130以上、下(拡張期血圧)が85以上なら「血圧が高い」と診断されてきたが、今回公表された新基準値では大幅に緩和され、上は147まで、下は94までは正常値であると変更されるという。

 最も従来の数字とかけ離れているのは、いわゆる「悪玉コレステロール」とされてきたLDLコレステロールで、現基準では120未満が正常とされたが、新基準では男性の上限が178、高齢女性ではなんと190まで拡大されたそうだ。

 この調査は、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会(健保連)が立ち上げた共同研究事業で、約150万人に及ぶ人間ドック検診受診者の血液検査データを使って、健康基準を導き出したそうである。

 そうなると、新基準で高血圧とされる148以上の人は約8%だから、異常と診断される人は約22%減ることになる。現在の30~80歳男女の人口から考えると、高血圧の「病人」は2,474万人から660万近くへと1,800万人も減る計算になるそうだ。

 また、悪玉コレステロールは、新基準は男女別になっているため、30~80歳の男性で考えると、従来の120以上の基準に引っかかるのは全体の約52%だが、新基準の179以上の人はたったの約4%しかいないので、ほとんどの人が引っかからないことになる。

 現在、男性だけでおよそ2,361万人もいる「悪玉コレステロールが高すぎる人」が、新基準では182万人しかいないことになるのだ。

 大櫛陽一東海大学名誉教授はこう話す。

「この基準が臨床に適用されれば、コレステロールを下げる薬の売り上げは激減し製薬会社には大ダメージとなる。さらに、通院する人も減るため、薬に頼る多くの開業医が潰れることになるでしょう」

 なぜ、急にこんなことになるのだろうか? 医者や製薬会社にとって痛手になることをできるのは、お上しかいない。その真意は「医療費の抑制」であろう。基準値を緩和して「健康な人」を増やすのは世界的な傾向だそうだ。

 無駄な医療費や薬代が減るからいいのではないかと思うが、そうばかりではないようだ。

 今回の人間ドック学会の調査のパートナーである、健康保険組合連合会(健保連)の存在も大きいようだ。

 サラリーマンが加入する健康保険組合の全国組織である健保連は、近年の医療費の増加によって、収入を上回る医療費負担(支出)を強いられ、財政危機に瀕している。

12345678
ページ上部へ戻る
トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真