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武藤彩未はアイドルシーンの見取り図を変える? 18歳バースデイライヴで見せた「大器」の片鱗

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デビューアルバム『永遠と瞬間』をリリースしたばかりの武藤彩未。

【リアルサウンドより】

 2014年4月29日に開催された武藤彩未のワンマンライヴ「DEBUT LIVE『BIRTH』」は、彼女が日本のアイドルシーンを不可逆にさせてしまったライヴだった。グループアイドル全盛のシーンをソロアイドルで塗り変えてしまう予感? いやそれどころか、ソロアイドルも含めてアイドルシーン全体の見取り図を変えてしまう予感さえしたのだ。

 この日、18歳の誕生日を迎えた武藤彩未は、8歳でモデルデビューし、ユニット「可憐Girl’s」を経て、中学卒業まで成長期限定ユニット「さくら学院」のリーダーを務めていた存在だ。さくら学院卒業後はソロ・プロジェクトをスタートし、錚々たるアレンジャーとミュージシャンによるバンド演奏で80年代の楽曲をカヴァーしたCD『DNA1980 Vol.1』『DNA1980 Vol.2』をリリースしてきた。

 そして2014年4月23日、オリジナル曲によるソロ・デビュー・アルバム『永遠と瞬間』を発売。三浦徳子や森雪之丞といった大物作詞家を迎え、さらにポルノグラフィティのプロデュースで知られる本間昭光が大半の楽曲を書いたアルバムだ。「DEBUT LIVE『BIRTH』」はその『永遠と瞬間』の発売を受けたバースデイ・ライヴだった。

 ステージ上には、正方形を積み上げたセットが床から天井まで壁一面組まれており、そこにさまざまな映像がVJで投影される。開演前からフロアの熱気が吹き上がって、2階は異常な暑さになっていた。セットの映像にはパペットが登場して前説を始め、さらに「実体」として馬のかぶりものをしたスーツの男まで登場した。

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セットのボックスには様々な映像が投影された。

 そしていよいよ武藤彩未が登場。まさに後光を浴びながら現れた。しかも、『永遠と瞬間』の8曲、その「セブンティーン盤」の1曲を含めても、オリジナルは9曲のみなので、当然80年代カヴァーもあるのだろうと思っていたところ、新曲を4曲も用意し、すべてオリジナル曲のみでライヴをしてしまったのだ。並々ならぬ気合いの入り方だ。

 冒頭の「Are You Ready?」も新曲ながら、武藤彩未には不安定さというものがない。「女神のサジェスチョン」では、振り付けで歌詞の世界を表現しながら、不意に指さしなどでファンを刺激して盛りあげていく。「Seventeen」を歌う武藤彩未は、前述のように18歳になったばかりだった。

 そして最初のMC。セットからステージ上に降りてきただけでファンから歓声が上がる、という光景を非常に久しぶりに見た気がする。こんなセットが用意されるアイドルなど、いまどきそうそういないのだ。

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リボンのようなスカートが印象的な2回目の衣装。

 「時間というWonderland」では、手足が大きな動きを見せる一方、指先まで意識が届いているのが遠目にもわかる。「桜 ロマンス」で使われている80年代的なマイナーコードも心地いい。「とうめいしょうじょ」では、バラードでの歌唱の安定感が光っていた。「A.Y.M.」は、キャッチなメロディー、打ち込みのビート、そして森雪之丞の手による武藤彩未のイニシャルが織り込まれた歌詞から構成された楽曲だ。振り付けでも武藤彩未が身体で「A」「Y」「M」を表現する。ファンの歓声もひときわ大きかった。

 2回目のMCでは、伊勢丹の「花々祭」のモデルに抜擢されたことや、グリコの「セブンティーンアイス」とのコラボによるオリジナル自販機のことが話題に出た。「夢みたいな世界が広がっていて……でも本当なんですよね!」と語る武藤彩未は、たしかに破格の待遇でソロ・デビューをしているアイドルだ。グループからソロになるアイドルは少なくないが、ここまで環境に恵まれているアイドルは武藤彩未しか思いつかないほどだ。

 新曲「RUN RUN RUN」では、リズムに乗せてファンの身体を動かしたりタオルを回させたりする。これはPerfumeのライヴにおける「PTAのコーナー」を継承したもので、同じ事務所・アミューズの先輩が得たナレッジが惜しげもなく使われているのだ。「A」「Y」「M」のポーズをファンにもさせ、さまざまなコール&レスポンスが繰り出される、いわば機能性重視の楽曲だ。続く「交信曲第1番変ロ長調」も新曲で、テクノポップ色が強い。とはいえ前述のPerfumeとまったく雰囲気が異なるのは、80年代へのノスタルジーがあり、さらに本人の生のヴォーカルを非常に重視しているからだ。「永遠と瞬間」のリードチューン「宙」では、歌の世界を指先と両腕で表現するイントロでの姿が神々しいほどだった。

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レーザーの演出にも力が入っていた。

 「宙」を当初音だけ聴いたときには「古いのでは?」と感じたキーボードの音色が、ライヴでは心地いい。適度に耳に引っかかるのだ。今風のEDMなら聴き流して終わりだが、ライヴで聴くときにその「今っぽくない」部分が意図的なものだったのだろうと理解できる。時代性を意図的に攪乱して、現在の武藤彩未へと向かわせているのだ。ステージ上では2台のミラーボールが回転し、何本ものレーザー光線がステージから放たれ、大歓声とともに「宙」は終わった。

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