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MC漢ら、レーベル始動会見でBEEF宣言も 宇川直宏「ミュージックビジネスに風穴開ける動き」

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D.O(左)と握手を交わす漢(右)。

【リアルサウンドより】

 ヒップホップMCの漢(MSC)主宰のレーベル・鎖グループによる番組『9SARI OFFICE SPECIAL~鎖グループ&BLACK SWAN公開記者会見~』が6月4日、DOMMUNEにて生放送された。同番組内では、所属アーティストが鎖グループと契約書を交わすとともに、漢らが前所属レーベルであるLibra Recordsに対し、異例のBEEF(論争、喧嘩)宣言をした。

 鎖グループは、2012年8月に漢がLibra Recordsから独立して立ち上げたレーベルで、2014年に事務所兼スタジオを東京・西早稲田にオープンさせたばかり。また、BLACK SWANは元・PヴァインのA&R/ディレクターで、アンダーグラウンドな日本語ラップシーンの構築に多大な貢献をしてきた故・佐藤将によるレーベル。2014年3月5日に佐藤将が急逝したことを受け、彼と旧知の間柄であった漢が、自身のレーベル内でBLACK SWANの存続を決意し、DARTHREIDERにレーベル代表就任を依頼。今回の放送は、両レーベルにとって新たな出発を意味するものだった。

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契約書にサインをするLIBRO。

 番組は、佐藤将の功績を辿るトークショーから始まり、その後、所属アーティストたちが報道陣の前でしっかりと契約書にサインを押印。始めに漢とDARTHREIDERが契約を交わした後、鎖グループとはD.O、HI-BULLET、DOGMA、LORD 8ERZ a.k.a. DJ GATTEMが、BLACK SWANとはGOKU GREEN、PONY、LIBROが契約を交わした。漢は「僕のマイメン(親友)である佐藤将と、水面下で会社を合併しようという計画を立てていました。そういう流れでスタジオや事務所を建設していたんですけど、途中で残念な事故がありました。しかしそれは、ひとりでもしっかりとやって、実力を付けろという佐藤さんのメッセージだと受け止めました。ただ、僕がBLACK SWANをやるのは、レーベルの色も違って違和感があるので、DARTHREIDERに頼みました」と、現体制の意図を明かした。

 DARTHREIDERは「DARTHREIDERがいきなりBLACK SWANをやるのも、佐藤さんが常日頃言っていた『想定外のレーベルにしたい』という意味で意義があると思うし、単純に今、なにが起こるかわからないことをやったほうが面白い。MC漢と僕は10代の頃から知っていて、かつてはどこかの現場で会ったら絶対にMCバトルが始まる間柄で、基本的にはバッチンバッチンやっていました。そういう事を経ていっしょにやるのも、面白いかなと思います」と、レーベル代表就任への意欲を語った。

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イベント中では、漢のビートボックスに合わせてDARTHREIDERがフリースタイルを披露する一幕も。

 所属アーティストがそれぞれにライブを披露すると、最後に漢がフリースタイルで「今日はここから誰もが振り返る話の内容だ」と宣言した後、「俺らが頑張れば頑張るほど、関係ねぇとこに金が流れるっていうのもここら辺で終わりにしようと思っている。何より日本のヒップホップはなぁなぁすぎて、つまんねぇなーって思ってるから。その辺はっきりさせるBEEFだ。牛肉だ。がっつり食うぜ、骨までしゃぶってやるよ」と、前所属レーベルであるLibra RecordsへのBEEFを開始した。

 漢らによると、2002年にLibra Recordsの社長と出会い、これまでMSC『帝都崩壊』や漢のソロアルバム『導~みちしるべ~』といったヒット作を生んできたが、その利益のほとんどを受け取っていなかったという。また、漢のアイデアで始まったMC BATTLE大会『ULTIMATE MC BATTLE』でも、あらゆる利権を社長に占有されていたとのことだ。漢は「日本式の先輩、後輩という間柄は嫌いではなかったから、頼れる人ができたら一緒にやるよ」と、かつてLibra Recordsで活動を開始した理由を説明。しかし、同レーベルの運営は、漢らによれば、杜撰でトラブルが絶えなかったという。同レーベルの所属アーティストは、契約書を交わすこともなかったとのことだ。会場に駆けつけたPRIMALやTAB001らも、同レーベルにおいて暴力行為やギャラの未払いが多々あったことを次々に証言した。

 漢は続けて「俺たちは一度ブランドになって、夢を見た。日本一のアンダーグラウンドって自負していたくらい勢いがついていた。(中略)でも俺らはこれをやらないと、次のステップに行けない」と、今回訴訟を起こす決意をしたことを明かした。

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