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『ブラック・スワン』ダーレン・アロノフスキー監督×ラッセル・クロウ 『ノア 約束の舟』

eiga0606.jpg『ノア 約束の舟』
(C)MMXIV Paramount Pictures Corporation and Regency Entertainment (USA), Inc. All Rights Reserved.

 今週取り上げる最新映画は、史実や伝説を題材にとった歴史スペクタクル2本。時を越えて語り継がれてきた物語が、現代のVFXで実写化された圧巻の映像を、映画館の大スクリーンで目いっぱい楽しみたい。


 『ノア 約束の舟』(6月13日公開)は、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督が、旧約聖書の「ノアの方舟伝説」をラッセル・クロウ主演で描いた壮大なドラマ。信心深いノア(クロウ)は、世界が大洪水によって滅びる夢を見て、神の啓示だと確信。罪のない動物たちを救うため、家族と一緒に巨大な箱舟を作り始める。ノアの父を殺した宿敵ルバル・カインが率いる軍勢が箱舟を奪おうと攻撃を仕掛けた時、ついに大洪水が到来する。

 神が罪にまみれた世界を浄化するために起こす洪水の前に、ノアが巨大な船を作ってすべての動物のつがいを救ったという、よく知られたストーリー。アロノフスキー監督は、招かれざる者の乗船、ノアの異常なまでの使命感といった要素により、先の読めないサスペンスを巧みにプラスした。ノアの妻をジェニファー・コネリーが演じたことで、正しいと信じる道を追求するあまり精神に変調を来す夫と、大きな愛で夫を支える妻という『ビューティフル・マインド』のカップルの再来にもなった。岩で覆われた巨大なクリーチャーが船の建造を手伝ったり、押し寄せる悪党どもをなぎ倒したりと、ファンタジーアドベンチャー的な見どころも楽しい。

 『ポンペイ』(公開中、2D/3D上映)は、『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督が、西暦79年の火山大噴火によって埋もれた古代都市を舞台に描くアクション大作。ローマ人に一族を滅ぼされて奴隷となり、剣闘士として成長したマイロ(キット・ハリントン)は、ローマ帝国の街ポンペイで貴族の娘カッシア(エミリー・ブラウニング)と出会い、恋に落ちる。闘技場でマイロたち剣闘士が命懸けの戦いを繰り広げる中、不穏な大地震が頻発。ついにベスビオ山が大噴火を起こす。

 ゲームを原作とする息の長い映画シリーズでファンを飽きさせないアンダーソン監督らしく、次から次へと繰り広げられる格闘アクションとVFXを駆使したディザスター場面が、まさにてんこ盛り状態。まるで『グラディエーター』『ボルケーノ』『2012』『アルマゲドン』『タイタニック』といった歴代の大作映画のスペクタクルシーンをメドレーで見ているかのようなお得感だ。『エンジェル・ウォーズ』のセーラー美少女戦士に扮したエミリー・ブラウニングが、奴隷の剣闘士に恋する貴族の娘を可憐に演じている。『ロミオとジュリエット』のような格差愛の行方も含め、スリリングな展開とケレン味たっぷりの映像が最後まで楽しめる快作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ノア 約束の舟』作品情報
<http://eiga.com/movie/57491/>

『ポンペイ』作品情報
<http://eiga.com/movie/79720/>

最終更新:2014/06/06 17:30
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