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『TOKYO TRIBE』公開記念インタビュー

園子温監督の“青の時代”はすでに終わった!?「僕には憎悪のエネルギーはもうありませんよ」

tokyotribe01.jpg世界初のバトル・ラップ・ミュージカル『TOKYO TRIBE』。“村岡印刷”で人気急上昇中の鈴木亮平とリアルラッパーのYOUNG DAISが激突!

──ラップミュージカルというアイデアが湧いてから、一気に企画が進み出したわけですね。

 そうです。漫画原作をそのまま映画にしたら、死ぬほどつまらない映画になっていたと思いますよ。役者たちがそれぞれキャラクターに扮して、「ヘイヘイ♪」とか言いながら本当の渋谷や新宿でロケして、ケンカするわけでしょ? しょっぼーいのしか撮れないですよ。『ルーキーズ』や『クローズZERO』みたいなすでにあるものになっちゃう。そうじゃなくて、もっとぶっ飛んだ世界にしたかった。言ってみればポジとネガみたいな関係で、普通の映画は本当の渋谷の街にウソのラッパーが出てくるわけだけど、それを逆にして本物のラッパーたちがウソの街でラップするということをやったわけです。

■街頭パフォーマンス「東京ガガガ」は体に染み付いたもの

──園監督も売れっ子になって、人気コミックを原作にしたメジャー路線に転じたというわけではない?

 『TOKYO TRIBE』は全然メジャー路線じゃないですよ(苦笑)。全然違う。これがメジャー路線になれればいいんだけど。でも、世界的に見たら、こっちがメジャー路線ですよ。日本の映画が偏りすぎ。ハリウッドだと『ワイルド・スピード』(01)や『ハングオーバー!』(09)みたいな下らなくて笑える映画が多いわけじゃないですか。ビール飲みながら観て、すっきりするエンターテイメント作品。それが主流ですよ。でも、日本だと病気になったり、喜怒哀楽を掻き乱すような作品が主流になっている。この間、ポスター見たら、『ドラえもん』(『STAND BY ME ドラえもん』)でさえ「ドラ泣きしてください」って。ふざけんなよ、ドラえもんはフツーにしてろよ(笑)。本当に面白い映画を作ることよりも、観た人を泣かせることのほうが大事になっている。それって、いびつですよ。『TOKYO TRIBE』みたいなエンターテイメント作品のほうが海外では主流なんです。

──主人公の海(YOUNG DAIS)たちが戦う相手は、竹内力を家長に叶美香、窪塚洋介、中川翔子らで構成されたブッバ一家。インディーズvs.メジャーという図式が園監督らしいなと感じました。

 それはまったく意識してなかった(笑)。でも、面白い見方だね。ラッパーは本当のラッパーたちにやってもらって、ブッバ家は別にラッパーはいらないから、コテコテ系の面白い家族にしようと思って役者を起用しただけです。

──海たちがブッバ一派と激突するクライマックスの市街戦はかなりの迫力。園監督が90年代にやっていた街頭パフォーマンス「東京ガガガ」をイメージしたものでしょうか?

 東京ガガガは全然イメージしてないですね。東京ガガガはイメージするものではなく、体に染み付いているものなんです。それだったら、『自殺サークル』(02)のほうがガガガに近いでしょうね。『自殺サークル』はJR新宿駅のホームに女子高生52人を本当に集めてゲリラ撮影したんです。無許可撮影だったんで関係者はみんな怖がっていたけど、僕はガガガで何度もゲリラ撮影を経験していたので何が危ないのか、どうすればいいのかを空気感で分かっていましたから。『HAZARD』(06)でもオダギリジョーを使ってNYや渋谷でゲリラ撮影やりましたしね。今回は様式的アクションですよ。

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