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『TOKYO TRIBE』公開記念インタビュー

園子温監督の“青の時代”はすでに終わった!?「僕には憎悪のエネルギーはもうありませんよ」

tokyotribe02.jpg人間家具が目を惹く、ブッバの息子・ンコイ(窪塚洋介)の部屋。園監督いわく、『時計じかけのオレンジ』(72)へのオマージュシーンとのこと。

──ほっこりする園作品!? いずれにしろ、園監督にとっての「青の時代」はもう終わったということですね。

 そうです。最近は「Revolution Q」というバンドでライブ活動やってますし、美術館で個展を開くための作品もつくり始めたところです。『毛深い闇』(河出書房新社)という小説も書き下しました。それにタレントとして、毎週バラエティー番組の収録をやっています。今年は映画を3本撮って、来年は5本撮る予定。いつ映画をやめるときが来てもいいつもりでいるんです。実際、映画づくりは少し中断してもいいなと思っているんです。僕は過去にも何度か映画づくりから離れてますから。東京ガガガを始めたときも映画はやめていたし、サンフランシスコを放浪していたときも映画づくりからは離れていたわけです。でも、映画をやめる度に世界が開けてきて、表現の自由度が上がった。僕にとっては映画をやめることは、決してネガティブなことじゃないんです。まぁ、生活は大変になるでしょうけど、それでもいいやって(笑)。

──「青の時代」に続く、園監督の新しい時代は何時代と呼びましょうか?

 ピカソでいう「キュビズムの時代」はまだ来てませんね。順番でいえば「桃の時代」かな? いや、あれはなんだっけ……。ピカソの絵で有名な『アビニヨンの娘たち』(キュビズム革命の発端になった作品)だ。あれこそ、ピカソって感じがしますよね。だから、次の時代は「園子温の時代」。まごうことなく「これが園子温の映画だ」という作品を撮るんじゃないですか。

──最後にもうひとつ。園監督のトレードマークだった黒い帽子を最近は被っていませんが、これも心境の変化ですか?

 『新宿スワン』(2015年公開予定)を撮っているときにね、沢尻エリカが僕の帽子を取っていったんですよ。それまで20年近く被っていた帽子なのに。撮影に追われていたんで、「まぁ、帽子なしでもいいか」と思って、そのまま帽子なしで今も過ごしているんです。園子温の歴史を変えてしまった、沢尻エリカはまさに魔性の女ですよ(笑)。

 1作ごとにスタイルが大きく変わっていく園子温監督。鬼才の新時代はいつから幕を開けるのだろうか。『TOKYO TRIBE』は8月30日(土)からの公開だ。
(取材・文=長野辰次/撮影=名鹿祥史)

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『TOKYO TRIBE』
原作/井上三太 脚本・監督/園子温 出演/鈴木亮平、YOUNG DAIS 清野菜名、大東駿介、石田卓也、市川由衣、ベルナール・アッカ、丞威、松浦新、石井勇気(パンダユナイテッド)、坂口栞琴、佐々木心音、中野英雄、大方斐紗子、山本亨、城明男、山口祥行、北村昭博、髙山善廣、深水元基、片山瞳、屋敷紘子、矢吹春奈、サイボーグかおり、三田真央、横山美雪、間慎太郎、舘形比呂一、泉澤祐希、Stephanie、佐藤隆太、染谷将太、でんでん、窪塚洋介、竹内力 配給/日活 R15 8月30日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー (c)2014 INOUE SANTA/〝TOKYO TRIBE〟FILM PARTNERS
http://tokyotribe-movie.com

●その・しおん
1961年愛知県豊川市出身。『俺は園子温だ』(85)がPFFに入選、『男の花道』(87)でPFFグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』(90)はベルリン映画祭に出品された。路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」時代にはジャン・ジャック・ベネックス監督のドキュメンタリー『おたく Otaku』(93)に出演している。1999年に文化庁新進芸術家在外研修員として米国に留学。帰国後に『自殺サークル』(02)、『紀子の食卓』(06)などの問題作を発表。『愛のむきだし』(08)はベルリン映画祭で2冠を受賞し、主演の満島ひかりと共にブレイク。以後、『冷たい熱帯魚』(11)『恋の罪』(11)『ヒミズ』(12)とヒット作を連発する。『希望の国』(12)では原発事故を正面から描いてみせた。『地獄でなぜ悪い』(13)はトロント映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞。『TOKYO TRIBE』に続き、『ラブ&ピース』『新宿スワン』の公開が控えている。2014年6月には故郷・豊川市を舞台にしたミステリー小説『毛深い闇』(河出書房新社)を上梓した。

■園子温率いるバンド「Revolution Q」のライブイベントが9月30日(火)に東京・恵比寿LIQUIDROOMで行なわれる。対バンライブとして「ART-SCHOOL」のほか、多数のゲストが参加。18時開場/19時開演、前売り3800円(税込み)。http://www.sonosion.com

最終更新:2016/02/03 19:00
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