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TOWA TEIが語るソロ活動20年の原点「毎晩DJが作る時間のカーブを自分も描きたいと思った」

「日本の仕事の方が自由だなって気づいた」

――じゃあアーティストとして表舞台に立ちたいとか、自分を表現したいとか、そういう強い気持ちは…

テイ・トウワ:なかったですし、今もないです。

――今もないですか?

テイ・トウワ:ないです。未だになぜ自分が取材なんか受けてるんだろうって思うし。

――じゃあ自分で望んだというよりは、周りがそういう状況になって…

テイ・トウワ:流れですかねえ。流れで学校はドロップアウトしちゃいましたし。でもDJはとにかく楽しくて仕方なかったんで、それ以外は考えられなかった。午後に起きて(ディミトリと)落ち合って曲を作って、お互いの現場に分かれて、たまに一緒にDJやって。キアーはキアーでダンサーとして踊ったりしてたし。だから…夜の生活でしたね。

――そういう気ままな生活がメジャー・デビューで激変して。

テイ・トウワ:そうですねえ。ほんとツアーがいやでいやでしょうがなかった。最初にステージにあげさせられた時は、ちょっと恥ずかしいとか緊張するとかその程度の<いや>でしたけど、それも慣れてきて、気がついたら何万人の前でやったりするようになって。ステージから落ちたのは15万人の前でしたからね(91年「Rock in Rio」)。リサ・スタンスフィールドとジョージ・マイケルの間(の出番)でしたね(笑)。ディー・ライトのおかげでいろんな体験はできたけど、でもそれもそもそも自分が望んだことじゃないし。DJにはなりたいと凄く強く思いましたけどね。毎日レコード買って、毎晩DJが作る時間のカーブを自分も描きたいと思った。10時ぐらいに行って。カウンターでビールを軽く飲んで、11時ぐらいから適当に回し始めて。そのころには既にがっつり踊ってるお客さんもいて。朝の4時に終わるんですけど、その頃になるとオーナーさんがやってきて“Towa,Good Job!”とか言って、後ろポケットに札束を入れてくれるんですけど、一晩で150ドルですよ。時給いくらだよっていう(笑)。でもコンビニのバイトよりはいいのか(笑)。でも楽しかったし。ビッグ・オーディオ・ダイナマイトの前座でやったときは30分で500ドルもらったけど(笑)。時給15万?みたいな。今はさすがに時給もだいぶあがりましたけど、お金の問題じゃなかったから。

――アーティストじゃなくDJとしてやっていきたいと。

テイ・トウワ:いや、やっていきたいも何も…とりあえず4年制(の大学)は出なきゃいけないと思ってたんですよ。美大出て、英語も喋れるようになって、3年ぐらいしたら日本に帰って…とか、なんとなく考えてたんですけど、DJになっちゃってから、何も…明日のことも考えなくなっちゃった。なんとか今月は家賃払えるかな、ぐらい(笑)。何も考えてなかったですね。何も考えてなかったことだけは覚えてます(笑)。

――ディー・ライトでやっていきたいという強い意志があったわけでもなく。

テイ・トウワ:まったく弱い意志でしたね(苦笑)…それで15万人の前で怪我して。その時までバンドを辞めたくて仕方なかったのに辞められなかった。あとで思うと、守護霊だかなんだか知らないけど、自分の潜在意識か落としてくれたのかもしれないですね。それしか(辞めるには)なかったですもん。事故しか。

――なるほど。

テイ・トウワ:それですぐにでも辞めたかったけど、とりあえず療養することになって。そうしたら坂本さんからアルバムを手伝ってくれと言われて、『Sweet Revenge』をやり、それから立花ハジメさんの『バンビ』を手伝うことになったんです。彼ら(ディー・ライト)よりもともとよく知ってる人たちだし、恩返しじゃないけど、楽しいし。すげえプレッシャーだったので、できるかどうか不安ではあったんですけど。そのころは日本に帰るビジョンもなくて、なんとなくDJを続けていくのかなあ、と思っていましたね。ディー・ライトでツアーが入ってからレギュラーのパーティーは辞めちゃったけど、単発でよく回してたし、どこのクラブ行っても顔パスだし、レコ屋に行けば”トウワが好きそうなのとっといたよ”って、ちやほやされるし。居心地のいい町になってたんですよ、いつのまにか。日本に帰るなんて考えられなかった。でもNOKKOちゃんの仕事(『I Will Catch U.』1993年)とかやると、どうも日本の仕事の方が自由だなって気づくんですよ。むこうにいる限り”ダンサブルにしてくれ”とか”リミックスしてくれ”と、この2つしか来ないんですよ。日本の仕事はCMのタイアップとかよくわからなかったけど、それはそれで自分にとってはフレッシュだったし。ダウンタウンとの仕事(『GEISHA GIRLS』1995年)も楽しかったし」

――請け負ってやるような職人仕事は性に合わなかったということですか。

テイ・トウワ:うん、そうですね。…で、なんとなく教授からソロを出さないかって言われて。その時に契約上のことをクリアにして、日本だけは教授のレーベル(gut)で出せるようにしたんです。 (後編に続く)

(取材・文=小野島大)

■リリース情報
『94-14』
発売:2014年9月3日
価格:¥2,800(税抜)
Artwork:Barry MacGee
〈収録曲〉
1.Apple
with Ringo Sheena
2.Radio
with Yukihiro Takahashi & Tina Tamashiro
3.The Burning Plain
with Yukihiro Takahashi & Kiko Mizuhara
4.Marvelous
with Yurico
5.Mind Wall
with Miho Hatori
6.A.O.R.
with Lina Ohta
7.Taste of You
with Taprikk Sweezee
8.Sometime Samurai
with Kylie Minogue
9.Milky Way
with Yukalicious, Joi Cardwell & Ryuichi Sakamoto
10.Latte & Macaron
11.Mars
with Ikuko Harada(Clammbon)
12.Butterfly
with Ayumi Tanabe & Vivien Sessoms
13.Let Me Know
with Chara
14.Happy
with Vivien Sessoms, Bahamadia & Bebel Gilberto
15.Time After Time
with Amel Larrieux & Vivien Sessoms
16Luv Connection
with Joi Cardwell & Vivien Sessoms
17.Technova
with Bebel Gilberto
18.Amai Seikatsu
with Maki Nomiya

『94-14 COVERS』
発売:2014年9月3日
価格:¥2,600(税抜)
Artwork:TOMOO GOKITA
〈収録曲〉
1.Last Century Modern ~ Technova(94-14)
with INO hidefumi[* New Recordings]
2.Hold Me Tighter In The Rain
with Vivien Sessoms[* New Recordings]
3.Mars(94-14)
with Aoi Teshima & Ikuko Harada[* New Recordings]
4.Siesta(94-14)
[* New Recordings]
5.Get Myself Together
with Taprikk Sweezee
6.Free
with Rozz, Vivian Sessoms & Juiceman
7.My Sharona
with Tycoon Tosh & Buffalo Daughter
8.Last Century Modern(94-14)
[* New Recordings]
9.Funkin’ For Jamaica
with Joanne, Les Nubians, Wizdom Life & Tom Browne
10.Forget Me Nots
with Joi Cardwell & Vivien Sessoms
11.Batucada
with Bebel Gilberto
12.Private Eyes(94-14)
with Bebel Gilberto[* New Recordings]

■20TH ANNIV. SPECIAL SITE
http://wmg.jp/towatei20th/

最終更新:2014/09/16 09:00
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