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ななみ、デビュー作までの波乱の日々を語る「10代は悲しみだったけど、20代はきっと楽しい」

「『歌わなきゃいけない』という使命感みたいなものが、常にあるんです」

――大きいテーマの曲ですが、ななみさんの個人的な気持ちを歌われているという捉え方もできるかもしれませんね。

ななみ:そうですね。引きこもっていた時期、私と同じように高校に行っていない人と遊ぶことが多くて。いわゆるヤンキー系の友だちが多かったんですけど、そういう人たちって、強がってはいても、愛がほしくて集まっているんですよね。家庭や学校で嫌なことがあったり、理由はそれぞれ。でも、結局は「人は愛がないと生きていけないんだ」と気づいたんです。それで、曲を作って誰かを救いたい、と思いました。

――「誰かを救いたい」という思いは、いまも強いですか?

ななみ:強いですね。そう考えて振り返ると、自分が引きこもりやいじめなどを経験したことは、すごい宝だなと思います。それまでは恋愛の曲だったり、分かりやすい曲が多かったのですが、経験として振り返れるようになって、「愛が叫んでる」や「巨人のおはなし」のように、誰かを救いたいと思って歌うようになりました。私に初めて生きる力をくれたのが音楽だったので、自意識過剰かもしれないけれど、「歌わなきゃいけない」という使命感みたいなものが、常にあるんです。

――ななみさんの歌声は低音域が豊かで、独特の魅力がありますね。

ななみ:もともとハスキーで、普通の女性より低めでガラガラしているんです。アイドルブームのなかで、「声が高くてかわいい子っていいな」と憧れて、母に「なんでこんな声に産んだの?」なんて言ってしまったこともありました(笑)。一番のコンプレックスだったんですけど、それが個性になると思って受け入れることができたんです。洋楽を聴くと、低音でハスキーなボーカリストもたくさんいますよね。最初は、ホイットニー・ヒューストンやセリーヌ・ディオンのマネをしてみたりもしました。でも、オリジナル曲は見本がないから、マネできません。そこで自然と出てきた歌声が自分の声なんだと思うんです。

――アイドルも多く輩出している世代ですが、ななみさんはそれとは違う個性ですね。

ななみ:声もそうですけど、もともと女の子らしいことをするのが苦手で(笑)。目線が男なんですよね。ストレートにものを言ってしまうし、女子のなかでは孤立しがちでした。だから、「かわいくしないといけない」という気持ちはなかったし、いまもかわいらしい女の子たちと対バンして、自分の個性を出せるのが楽しくて。

――海外だと、例えばアヴリル・ラヴィーンのように強い女の子像を打ち出しているアーティストもいますね。洋楽から発見したヒントもあったのでは?

ななみ:そうですね、アヴリルの影響は大きかったと思います。女性だからってかわいらしく振る舞う必要はないし、強い女性がいてもいいじゃないかって。

――楽曲の話に戻ると、「巨人のおはなし」はひとつの紙芝居のような物語に仕立てられているのが印象的でした。

ななみ:物語形式の作り方は初めてでした。巨人を出したいと思ったのは、『進撃の巨人』に衝撃を受けたからですね。巨人が人を襲って、人間がかわいそう…という構図だけれど、自分自身も小さいころ、何もわからずアリの巣を壊したことがあったので、そういう意味では自分も巨人だったなと思って。弱い者も、強い者も罪はなく、それでも大きさに関係なく命の重さはかわらないから、「命が美しい」というのは正しいんだ、ということを伝えたかったんです。でもどう伝えればいいか分からなくて、そのまま影響を受けた『進撃の巨人』から巨人を出して、巨人と少女の話にしようと思いました。

――まさに絵が見える楽曲に仕上がっていますね。歌詞はどんな風に作るんですか?

ななみ:あまり曲を作るのに時間をかけないんですが、歌詞についてはすごく時間をかけました。洋楽が大好きなので、最初は適当な英語で作ります。なので「揚羽蝶」なんかもそうですが、言葉にもリズム感が出ていると思っています。

――それは強みだと思います。影響を受けたミュージシャンはいますか?

ななみ:アリシア・キーズ、レオナ・ルイスKTタンストール、王道ですがホイットニーもそうですし、テイラー・スウィフトやジェシーJなんかも好きです。言葉は分からないけれど、歌声で伝わるものがあって、それが学べたと思います。吐息の入れ方ひとつでも、普通に歌ってるだけじゃないんだと分かる。それはすごく自分も大事にしたいと思っています。

――アコースティック楽器を軸としたサウンドが好きなんでしょうか。

ななみ:そうですね。できれば生音で、あまりピコピコしていないのが好みです。今回の楽曲も人が出す音にこだわっていて、「愛が叫んでる」は、自分が好きなアーティストのバックミュージシャンに演奏してもらったんです。アヴリルのバックでやっていたり、エンジニアはマドンナと一緒に仕事をしていたり。譜面どおりではなく生きた音になって、6テイクやって、全部違うんですよ。すごくうれしくて、いまでも信じられないですね。マドンナなんて、私にとっては龍みたいに、本当に存在しているかどうかすら分からないレベルの人なので(笑)。

――この曲は、ななみさんのやりたいことが詰まったものだと。

ななみ:はい!私の思う本当の音を届けたいなと思います。今世に出ている楽曲も素晴らしいんですけど、それとはまた違う音楽を届けられたらなって。

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