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週刊誌スクープ大賞

加熱する報道に“リベラル派”現代が待った!「朝日叩きは政府によるメディアリンチ」

 ポストの安倍首相批判は見事な「芸」になってきている。今週も拉致問題解決の執念を燃やしていると「公言」している安倍首相がまんまと北朝鮮に騙されたと、鋭い突っ込みを入れている。これが今週の第3位。

 9月に拉致被害者の第1次報告を北朝鮮から受け取ることになっていたはずだったが、なんのことはない、現時点ではまだ調査が続いていて、1年ぐらい延びると一方的に告げられたのである。

 それもポストによれば、8月に行われたマレーシアの協議で「北朝鮮側は『第1次調査報告』の概要を伝えていた」というのだ。そして、そこには「現時点での拉致被害者の生存はゼロ、よって中間報告での回答にも拉致被害者は含まれない」とあったと、外務省関係者が話しているのである。

 生存者ゼロという報告が出されれば安倍首相の面子は丸つぶれになる。かといって、一部経済解除して日朝交渉に前のめりになっているのだから、ここで経済制裁を解除するわけにはいかない。そんなことをすれば、外交判断の大失敗を認めることになる。慌てた安倍首相は北朝鮮に、「中間報告を公表しないでくれ」と泣きついたというのだから情けない。

 安倍首相は制裁解除すれば何人かの拉致被害者が帰ってくると、根拠のない思い込みで突っ走り、北朝鮮の若い指導者・金正恩にナメられてしまったのである。

 中国、韓国との首脳会談を何としても実現したい安倍首相は、なりふり構わず岸田文雄外務大臣を使って機会を探っている。だが、中国も韓国も日本に対する嫌悪感を隠そうとはしていないから、もし実現しても表面的なものか、安倍首相が相当の譲歩をすることになるはずだ。

 金正恩にもいいようにあしらわれている安倍首相は、このままでいくと、中・韓・北に“土下座”してもいいからすり寄る屈辱外交へ大転換するかもしれない。そう思わせる拉致問題外交の大失敗ではある。

 先ほども触れたが、朝日新聞についての批判は「ヘイトスピーチ」のようなものまであり辟易していたが、ようやく現代が本来持っていたはずのリベラルらしさを出して、この問題にひとつの視点を提供してくれている。必読だ。

 海外のメディアやジャーナリストがこの問題を見る目は、日本の右派系の新聞や週刊誌が朝日バッシングしている方向とはだいぶ違っている。いくつか紹介しよう。

「アメリカ人投資家たちは、ますます右傾化していくアベは、日本を右翼国家にしていくのではないか、再び戦争の道へ走るのかと、強い危惧を抱いているのです」(ニューヨークの日系ライオンズ・クラブのマイク・アイダ氏)

「日本のナショナリストたちは長年、朝日新聞が歪んだ『マゾ的な』歴史観を伝えていると非難してきたが、その声は、安倍首相のバックを得て、最近さらに大きくなっている。そんな中、安倍首相は、日本の過去の歴史にプライドを吹き込むことを、自らの重要な使命と考えている……」(『フィナンシャル・タイムズ』9月12日付)

「周囲の朝日新聞の記者たちは、いまやすっかり意気消沈していますが、逆に朝日問題にかこつけて、言いたい放題なのが安倍政権です。朝日の報道がウソだったからといって、慰安婦問題自体がウソだったことにはなりません。そもそも慰安婦問題で世界が日本を非難したのは、朝日の報道によってではなくて、元慰安婦の女性たちが証言を始めたからです。韓国ばかりか、フィリピン、オランダ、オーストラリアからも同様の証言が出てきています。朝日を執拗に非難する安倍政権や右派の人々と、世界との乖離を感じます」(「ニューヨーク・タイムズ」のマーティン・ファクラー氏)

「私は1967年から、ジャーナリストとして政権とニュースメディアとの関係を注視してきましたが、今回組織的な朝日叩きのようなことが起きた時は、政府が危険になるときです。ヒステリックな朝日批判が、日本政府のトップレベルから発せられていることが問題なのです。ワシントンから見ていると、安倍首相は従軍慰安婦問題そのものを無きものにしているように映る。それによる国際社会の日本に対するイメージ悪化を考えると、日本は早く次の健全な首相の登場を待つべきかもしれません」(ワシントンの著名なジャーナリストのクリス・ネルソン氏)

「安倍首相は『積極的平和主義』を唱えていますが、EUから見れば『積極的右翼主義』にしか見えません。EU市民が安倍首相に評価を下すなら、ABEの頭文字の『A評価』ではなく、最後の文字の『E評価』(不可)です」(ドイツの高級紙『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の元東京特派員・バーバラ・オードリッチ氏)

「今回の朝日叩きは、政府によるメディアリンチですよ。これは大罪です。そのうち、『慰安婦を組織したのは朝日新聞だった』などと言い出すのではないでしょうか。それくらい馬鹿げたことをやっていると思います」(フランス『フィガロ』東京特派員のレジス・アルノー氏)

 さらにアルノー氏はこう続ける。

「安倍首相を始めとする日本の右傾化した政治家たちは、『朝日新聞は国際社会における日本のイメージを損ねた』と声高に叫んでいますが、事実は正反対です。仮に、日本の全メディアが、産経新聞のように報道してきたなら、今頃日本は国際社会において、世界のどの国からも相手にされなくなっていたでしょう」

 今の日本のメディアは朝日新聞と東京新聞を除けば、週刊誌も含めて産経新聞化してしまっている。これこそ、恐ろしいことである。

 多様な言論の意義を忘れ、われこそ正義なりと安倍首相の尻馬に乗り朝日を責める右派メディアには、メディアに必要な恥じらいというものがないのだろうか。

 日本が産経新聞と読売新聞、文春、新潮、Willだけになったら……私は日本を脱出する。ようやく取り戻した現代の立ち位置を大切にしてもらいたい。外国メディアの人間を使うのではなく、現代編集部の見解を巻頭で発表してみてはどうだろうか?

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