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Eテレ『サブカルチャー史』でゼロ年代を分析 宮沢章夫「逸脱の表現がサブカルチャー」

【リアルサウンド編集部】

 今につながる日本の文化をサブカルチャーの視点から辿る歴史番組『ニッポン戦後サブカルチャー史』の第10回が、10月3日に放送された。最終回となる今回は「ゼロ年代〜現在」がテーマ。宮沢章夫を講師に迎え、風間俊介、市川紗椰、西田藍が出演した。

 今回のカギとなる作品は、浅野いにお作の漫画『虹ヶ原ホログラフ』。同作は2003年より『QuickJapan』にて連載が開始し、2006年に単行本化。宮沢は、特にこの期間のサブカルチャーにスポットを当てることによって、ゼロ年代〜現在に通じる文化をひも解こうとした。

 ゼロ年代の日本は、小泉内閣の発足や世界同時多発テロといった大きな出来事が続く中、グローバリズムの荒波に揉まれ、特に製造業が大きく落ち込み、若者の失業や非正規雇用問題が深刻化した時代だ。一方でテクノロジーの世界は急速に成長、IT業界では企業ブームが起こり、SNSや携帯ゲームが発展した。2004年には『電車男』がベストセラーになるなどして、オタクカルチャーが完全に市民権を得た時代でもあった。

 『虹ヶ原ホログラフ』は、そんな時代の不安を表すような作品であると番組では位置付けられた。郊外の街の小学生の間で「トンネルの中に潜む怪物が世界を終わらせる」という噂が流れ、日常に潜む悪意が小学生たちを残酷に、かつ静かに狂気の世界へと誘うストーリーで、浅野は本作について「こんな作品はもう描けないと思います」とコメントを寄せている。

 宮沢は、同時期に描かれた作品のひとつとして、黒沢清の映画『アカルイミライ』を挙げ、これらの作品は表現の質が似ていることを指摘。風間は「今までの作品はディストピアを描く際、崩壊する街の中でたくましく生きるひとを描いていたが、ゼロ年代のディストピアは精神的なものであって、日常の中にそれが出ている」と述べた。

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