日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 東国原、空気が読めなくなった?
週刊!タレント解体新書 第18回

東国原英夫の「失言」が示す、2014年以降のテレビのあり方『ワイドナショー』(12月21日放送)を徹底検証!

 『ワイドナショー』が求めるものは、持ちネタではない。むしろむき出しの対応力や、その人の本質こそが求められている。ハゲネタを、しかも長嶋一茂が真剣にドナーの失望を語ったあとに披露するというのは、明らかに間違っているし、そこで笑いが起きるはずはない。視聴者がドナーの失望を想起したあとに、東国原英夫のハゲネタで笑うだろうか? これは明らかに、失言だと言えるだろう。少なくとも、政治家として活動していた人間が言うべきことではない。そのズレが、微妙な空気を呼ぶ。明らかに、対応できていないのだ。

 この『ワイドナショー』という番組が、あるいは松本人志が求めているのは、たとえば社会学者・古市憲寿の異常なまでの潔癖性と身も蓋もない恋愛観や結婚観であり、コラムニスト・犬山紙子の独自の視点からの男性観や女性観であり、あるいは武田鉄矢の常人にはたどり着かないほどのキラーな発想である。それら、個人の突飛な本質が「むき出し」になる瞬間こそがこの番組の肝であるし、それこそが面白いのだ。「むき出しの時代」に対して「むき出しの個人」で対抗するというのが、本来の『ワイドナショー』の本質である。

 繰り返すが、テレビは時代を象徴するものだ。だからこそ「むき出しの時代」へと社会が変わりつつある今、テレビもまた変わらざるを得ないだろう。『月曜から夜ふかし』『有吉反省会』(日本テレビ系)、『櫻井有吉アブナイ夜会』(TBS系)などの番組は、その一端だと言えるかもしれない。あるいは、『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)、『爆報!THE フライデー』(TBS系)もそうだろう。時代に応じてテレビは変わる。そしてまたタレントも、その変化に気付いて対応できなくては淘汰される時代が、すぐそこまで来ているのではないだろうか。

【検証結果】
 一応言っておくが、「むき出しの時代」や、それに対応するテレビ番組を非難するわけではない。前提となるルールが変わりつつある今、テレビがそれに対応せざるを得ないというのは当然の帰結である。だがここで重要なのは、どのような作法でその変化に対応するかだ。やり方は数多く存在する。だからこそ、そこでは作法と技術が必須となる。2014年以降。テレビは今、まさしくその岐路にある。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa

最終更新:2014/12/25 19:37
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