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Sexy Zoneがミスチルを抜いたCDシングルランキングをどう考える? さやわかが歴史的視点から提言

【リアルサウンドより】

 Sexy Zoneの新シングル『君にHITOMEBORE』(11月19日発売)が初週で約33.6万枚を売り上げ、同日に発売されたMr.Childrenの新シングル『足音~Be Strong』の売り上げ11.4万枚を上回り、12月1日付けのオリコン週間CDシングルランキング1位に初登場したことが、一部で波紋を呼んだ。(参考:2014年12月01日付オリコン週間CDシングルランキング

 Sexy Zoneが初回限定盤4種に加え、通常盤と限定流通商品の〈Sexy Zone Shop盤〉など、セット販売を含めて計33形態で販売する、いわゆる“複数販売形式”を展開したことに対し、Mr.ChildrenはCD1種類のみという対照的な販売方法だったため、そのランキングに疑問を抱く声が多く挙った形だ。ネットでは、Mr.Childrenのオリコン31作連続初登場1位という記録が途絶えることもあり、「あんなに特典を付けて1位をとるとかやっぱ納得いかない」「オリコンはもう終わった」といった、ネガティブな意見も目立つ。

 しかし、『AKB商法とは何だったのか』の著者であり、音楽産業に詳しいライター・物語評論家のさやわか氏は、そうした見方に疑問符を投げる。

「Mr.Childrenは90年代、数多くのCM曲やドラマ主題歌などのタイアップを獲得してきたことで、知名度を高めて人気を集めてきたバンドです。もちろん、バンドの実力や曲の良さもありますが、プロモーションにも力を入れてきたことは事実で、“売れること”をしっかり意識してきたバンドでもあります。90年代の音楽業界は、80年代に人気だった『ザ・ベストテン』などの音楽番組が減少していったことから、タイアップの重要性が認識された時代で、そういった意味でMr.Childrenは時代に即したプロモーションを展開し、成功したバンドとも言えるのです。多くの人に音楽を届けるのに、しっかりとしたプロモーションをするのは当然ですし、そうして一時代を築いた彼らは、その戦略も含めて評価されて良いと思います。今回のシングルは2位でしたが、やはり過去からやり続けてきた大型タイアップを付けて、積極的な売り上げ促進を図っています。彼らが純粋に音楽の質だけで売れたと考えるのは、いささか偏った見方なのではないでしょうか」

 また、Sexy Zoneの販売手法も決して非難するようなものではないと、同氏は指摘する。

「今回、Sexy Zoneが行った特典付きの複数販売形式は、いまやアイドルに限らずさまざまなアーティストが行っている販売戦略で、CDに新たな付加価値を与えて成功するという手法です。そもそもオリコンチャートは、音楽の“質”を担保するものではなく、純粋に“売り上げ枚数”で順位が決まるもの。そこには当然、プロモーションの成否も反映されます。それゆえ、今回のチャートでSexy Zoneが1位となり、ミスチルが2位だったことの意味をあえて考えるならば、今の時代においてはタイアップよりも複数販売形式が有効な戦略であるということが改めて確認できたということでしょうし、いずれにしても両者の音楽的な評価を決定付けるものではありません。さらにいえば、オリコンチャートに多くの人がこだわるのは、単純に売れることそのものに価値がなお見いだされているからだし、それを踏まえた上で、売れるためにタイアップで人気を獲得してきたMr.Childrenも、複数販売形式で枚数を重ねたSexy Zoneも、間違ったことをしているわけではないと思います。また、そういう視点でならオリコンチャートはしっかり機能し、今なおひとつの指標にはなっていると言えるでしょう」

 音楽の“質”だけでなく、各アーティストの販売戦略の成否が反映されてきたのがオリコンチャート、というのがさやわか氏の見方だ。そうした視点でチャートアクションを追うと、新たに見えてくるものもあるのではないか。

(文=松下博夫)

最終更新:2014/12/01 09:00
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