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 >   > m.c.A・Tが証言する、90年代日本語ラップの興隆とその手法「ラップとメロディの融合を試みた」

m.c.A・Tが証言する、90年代日本語ラップの興隆とその手法「ラップとメロディの融合を試みた」

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m.c.A・Tこと富樫明生。

【リアルサウンドより】

 日本初の音楽ダンス映画として1992年に公開された『ハートブレイカー[弾丸より愛をこめて]』が、東映Vシネマの25周年を記念してDVD化され、11月7日に発売された。

 同作は、ダイアモンドユカイこと田所豊演じるディスコ探偵が、無国籍な雰囲気の漂う世界で事件に巻き込まれ、登場人物たちがダンスバトルを繰り広げるという内容で、日本だけでなくアジアの音楽シーンにも大きな影響を与えたとも言われるカルト映画だ。監督を務めたのは、数々のミュージックビデオやライブビデオを中心に制作を続ける小松莊一良(当時:壮一郎)で、全編の音楽および編曲も担当した富樫明生が“m.c.A・T”としてデビューする前に主題歌「Bomb A Head!」を提供した作品としても知られている。今回、リアルサウンドではラピュタ阿佐ヶ谷にて11月7日に行われた同作の上映会に向かい、m.c.A・T本人にインタビューを実施。一世を風靡した「Bomb A Head!」の誕生秘話や、当時の日本語ラップシーンや自身の方法論について、さらには現在の音楽シーンについてまで、幅広く話を聞いた。

「m.c.A・Tとして、ラップとメロディの融合を試みていた」

ーー『ハートブレイカー』で、音楽製作を務めた経緯を教えてください。

m.c.A・T(以下A・T):『ハートブレイカー』の富樫明生とm.c.A・Tは、いちおう別人という設定なんですけど(笑)。僕自身は、89年くらいから富樫明生名義でプロとしてやっていて、歌うのはもちろんなんですけど、音作りも得意だったので、プロデューサーとして90年以降、色んな音楽を作っていました。特にソウルやR&B、ヒップホップやニュージャックスイングといった、ブラックミュージック/ダンスミュージック寄りの音楽を作っていたので、そういうアーティストとの関わりが多かったんですね。それであるとき、音楽評論家の平山雄一さんが、「今度、ダンスミュージックの映画を撮るから」ということで、小松監督に僕を紹介してくださったんです。

ーーこの映画では、m.c.A・Tとしてデビューするきっかけにもなった「Bomb A Head!」が主題歌となっています。小松監督からは、制作に当たってどんな要望がありましたか。

A・T:僕はダンスミュージックに携わるうえで、ポッピングやロッキング、ヒップホップといったダンスの種類をあらかじめ知っていたので、基本的に小松監督との話は早かったです。ひとつ覚えているのは、監督に、「とにかく色んなシーンの音楽を作ってほしいんだけど、一番力を入れたいのはテーマソングなんだ」といわれて、そのイメージとしてカセットテープで聞かされたのが、当時、売れっ子作曲家としても名を馳せていた大澤誉志幸さんの曲だったことですね。僕自身、大澤さんとは友好が深かったものですから、それを聴いて「ちきしょう、負けてらんねぇな。びっくりさせてやろう」と思いまして、ずいぶん気合いが入りました(笑)。その頃の僕は、m.c.A・Tとしてラップとメロディの融合というのを研究していて、ライブでそれを披露したりもしていたんですが、ただそれを世に出すか否かは迷っていました。そんな折りに大澤さんに刺激されて、とにかく彼に負けないようにスリリングな曲を作ろうと思ってできたのが、「Bomb A Head!」だったんです。

ーーラップとメロディの融合という試みは、当時、とても新鮮なものだったかと思います。実際、1993年にリリースされた「Bomb A Head!」は、大きな話題となり、売り上げ枚数15万枚を越えるヒット曲となりました。そういった方法論は、どのように育まれたのでしょうか。

A・T:僕は当時、FUNKY GRAMMAR UNITのRHYMESTERやEAST END、スチャダラパー、いとうせいこう、高木完、藤原ヒロシ、それからヒップホップではないけれど電気グルーヴとか、そういう人たちの音楽をずっと聴いていましたが、僕は北海道出身だったので、東京のカルチャーの中にはいなかったんですね。そんな中で僕が独自に考えていたのが、もしかしたらラッパーが歌も歌うというのもアリなんじゃないか、ということ。ただ、歌でブラックミュージックを表現しているひとは、それこそこの映画にも出ているGWINKOや、久保田利伸、横山輝一、AMAZONSなど、すでにたくさんいた。つまり、R&Bやソウルはそれなりに成熟していたものの、まだまだラップというのは黎明期で、そこに新しい表現の可能性があったんです。今でこそ、アメリカのヒップホップをベースに、韻を踏むことーーライムというものが理論的に研究されて、スキルフルでかっこいい日本語ラップがたくさんあるけれど、当時はまだ探り探りで、後韻が多くて一般の人にはダジャレみたいに聴こえるものばかりだった。僕も最初はそれに近いものを作っていたんだけど、やはり違うなって感じていて。それで考え出したのは、日本語の「ま」や「ぱ」や「だ」の子音とか、あとは「っ」の付く促音便とか、そういう部分を活かした、つまりは韻を排除したラップだったんですね。そして、そのラップに加えて、歌も一人でやってしまうと。そうやってメロディとラップを近づけるとともに、人との差別化を計ろうとしていました。どこで息継ぎしているんだろう?と思わせるくらい、スリリングな歌唱法。それが当時、僕が辿り着いた答えだったんです。

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