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藤巻亮太が明かす、“ソロ第二幕”に向けた葛藤と覚悟「レミオロメンとの差別化が縛りとしてあった」

「ソロをこのシングルからちゃんと始めること」

――先行配信された「アメンボ」はどのように作られた曲でしょうか。

藤巻:これは映画『太陽の坐る場所』のために作った曲です。自分の地元の山梨を舞台に作られた映画で、高校までのことを、数年後の同窓会で思い出しながら話が進んでいきます。同窓会で出会うというのは、ある意味でいろいろな傷とも向き合わなきゃいけないことで、当時の自分と再会する感覚って自分でもわかるなと思いました。自分の原風景に、その傷のような夕立があって水たまりができて、そこに青空が映ってアメンボが動いて水面が揺れる、というような景色があります。それを歌ってみたいな、ということがまずイメージとしてありました。

――複雑な感情が「アメンボ」には込められていますが、聴き心地としては非常にシンプルな印象がありました。

藤巻:言葉が展開していって、一言で言えばいろいろな感情、「心の綾」のようなものがアレンジで表現できたらいいなと思いました。言葉と言葉の間にいろいろな思いが隠れていたりこぼれ落ちちゃったりして、そういう部分を音楽がどう拾っていけるか、ということは作り手としてもいつも思うところです。そこが見つけられると楽しいし、やっていて良かったと感じます。そういう風に、パワーで押し切るだけじゃなくて、幾重にも重なった複雑な思いをこの曲の中で拾い集められるように意識しました。

――この曲はどのようなメンバーで演奏したのですか。

藤巻:ドラムはあらきゆうこさんで、ピアノが河野圭さん。ベースやギターは自分で弾きました。弦っぽいものやシンセも自分でやりました。曲ごとに演奏陣を考えたり、自由度がソロになってすごく高まってきていると思いますね。自分が表現したいことに対してより純度が高まっている手応えがあります。

――その上で今、藤巻さんが欲しい音や演奏はどんなものでしょう?

藤巻:言葉と言葉の間にあるものを、メロディが埋めるのか、それとも違う楽器が違うことで埋めるのか。いろんな表現の幅やアングルがあるなと感じています。アレンジまでしていくと面白いし、本当に可能性がある。みんなでアレンジしていく喜びもたくさんあるんだけれど、1人でそれを突き詰めていく作品性というのも今だから挑戦できることです。ソロの1作目はアレンジも含めていろんな人と作った部分もあったけど、2作目に向かう今の段階は、一から十までやり切ろうかな、という思いがありますね。

――3曲目に収録されている『Happy Birthday』は良い意味で無防備で、シングルならではの曲かもしれませんね。

藤巻:この曲は、過去でも未来でもなく今なんだ、というところをテーマにしているので、テーマはやっぱり似ています。1歳年を取って、その中でやっぱり、昨日の自分じゃなくて今の自分に戻っていくというか、誕生日を迎えることで新しい風が絶対に吹くし、それを今日も明日も吹かせていったらきっと素晴らしいことがあって、それが「今を生きる」ということになってくるのかなと思います。そういう意味で『ing』のテーマとつながっていますね。ただ、自分と向き合って深いところへ掘っていくことで『ing』を作ったのとは対照的に、この曲は本当に素直にスッと一筆書き出来た曲です。

――掘り下げる、という意味ではレミオロメンのときから、すごくポップな歌でも藤巻さんの世の中に対する関心などが歌詞に表現されていたように思います。そういう作業はこれからもやっていく、ということでしょうか。

藤巻:人間って意識よりも無意識の世界の方が大きいと思うんですね。今こうして意識をつくって話していますけど、ものづくりでは無意識の世界から出てくる言葉の方がリアリティを持っているように思えることがあります。その深度によっては、「僕だけじゃなくて君ともつながっているかもしれない」ということがあって、そういう風に掘り下げた言葉は根っこの部分でつながっているかもしれない。そうした共通点まで到達する、そこまで掘り下げていく、ということは曲作りをする上で大事な気がしています。

――次の作品へ向けた動きも始まっているのでしょうか。

藤巻:まだちゃんとは始まっていませんが、年明けくらいからレコーディングを始めていこうかと思っています。曲はこの2年間で20曲以上出来ました。その中でより良いもの、今に近いものを選んだり新しく作ったりして、代名詞になれるような作品を作りたいです。

振り返ると、僕の中でどうしてもレミオロメンというバンドとの差別化が自分の縛りとしてありました。そういう縛りは止めて、自分が持っているものや素直に思っているものをちゃんと丸ごと出していこうと思っています。弾き語りをやったことが楽曲に影響することもあるし、自分の根っこにあるバンドサウンドというものがもう少し洗練されてくる部分もあるだろうし、そんな中で今生きていくことをもっと素直に言葉にしていこうと。今できることは、ソロをこのシングルからちゃんと始めることです。一人一人の心に届くように、一対一の気持ちを忘れないで、作って、伝えていきたいですね。

――その第一弾が今回のシングル『ing』ですね。

藤巻:ここからまた、今という時間を大事にしながら音楽を頑張っていこうと思います。

(取材=神谷弘一/構成=高木智史)

■リリース情報
『ing』
発売:12月17日
【初回限定盤】VIZL-771 ¥1,800(税抜)
01. ing
02. アメンボ
山梨放送開局60周年記念作品 映画『太陽の坐る場所』主題歌
03. Happy Birthday
04. ing~エレキ語りver.~
DVD「ing」【MUSIC VIDEO】
【通常盤】VICL-37001 ¥1,200(税抜)
01. ing
02. アメンボ
山梨放送開局60周年記念作品 映画『太陽の坐る場所』主題歌
03. Happy Birthday

■ライブ情報
「EX THEATER TV Presents COUNTDOWN EX 2014 to 2015」
12月31日(水) EXシアター六本木

■オフィシャルサイト
http://www.fujimakiryota.jp/index.php

最終更新:2014/12/17 09:00
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