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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.303

高倉健主演のワーナー作品『ザ・ヤクザ』がDVD化 健さんがハリウッド映画に与えた影響とは……?

theyakuzamovie03.jpg“スリーピング・アイ”と呼ばれたロバート・ミッチャム。『狩人の夜』(55)や『恐怖の岬』(62)などカルト作で強烈な個性を放った。

 健さんの映画俳優としての功績は誰もが認めるところだが、健さんが残した負の遺産について最後に触れておきたい。健さんが映画の中で演じたストイックなキャラクターは痺れるほどかっこよかった。健さんが演じてきた寡黙なキャラクターを、84年〜89年にわたってオンエアされた日本生命のCMでの「不器用ですから」という台詞はうまく言い当てていた。だが、このときの健さんがあまりに魅力的だったため、不器用な生き方=かっこいいと勘違いする一部の人間がこのCMを見て育った世代にはいる。

 言うまでもなく、健さんが演じた“不器用キャラ”は映画やCM世界での虚像である。実際の健さんはスタッフや共演者への気配りを欠かさず、初めて逢った人には自分の手で名刺を丁重に渡すコミュニケーションの達人だった。そうでなければ生涯205本もの映画に出演することはできない。そんな現実を無視して、口当たりのよい虚構部分だけを鵜呑みしてしまった人間の行く末は悲惨だ。周囲とのコミュニケーションを図る努力をせずに、「不器用ですから」と自分で口にする人間の末路はシャレにならない。そもそも1回しかない人生を、器用に生きられる人間はどこにもいないはずだ。「不器用ですから」の台詞の後、健さんは伝えたい言葉があったのではないだろうか。健さんがいなくなった今、そのことを思う。
(文=長野辰次)

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『ザ・ヤクザ』
製作・監督/シドニー・ポラック 原作/レナード・シュレイダー 脚本/ポール・シュレイダー、ロバート・タウン 出演/ロバート・ミッチャム、高倉健、ブライアン・キース、岸恵子、ハーブ・エベルマン、リチャード・ジョーダン、ジェームス繁田、岡田英次、待田京介、クリスティーナ・コクボ、郷鍈治、汐路章 発売元/ワーナー・ブラザーズ・ホームエンターテイメント 発売価格/1429円(税抜価格) 12月23日よりDVDレンタル&発売中 
(C) 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
http://www.warnerbros.co.jp

最終更新:2014/12/30 21:00
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