日刊サイゾー トップ > その他  > 「大病で引退寸前」から「カバーブームの牽引者」へ 徳永英明の波瀾に満ちたキャリアとは?

「大病で引退寸前」から「カバーブームの牽引者」へ 徳永英明の波瀾に満ちたキャリアとは?

 その後、個人事務所のマゼランを設立するなど、意欲的に活動を展開しようとした徳永だったが、度重なる体調不良に悩まされるようになる。93年には声帯ポリープを患い、同時に手のしびれや目眩に襲われることもあったという。徳永自身、「歌手になるという夢を果たし、次の目標が見つからなかった」と後に語っているが、この時期以降は楽曲のリリースペースも落ち、90年代後半のバンド全盛の音楽シーンの中で、徳永英明の存在感も薄れがちになっていく。

 もっとも大きなダメージは、2001年に徳永を襲った脳血管疾患だ。2001年5月のコンサート中に倒れるというハプニングがあり、その後の検査で「もやもや病」であることが判明する。多くの症例で意識障害や言語障害を伴い、場合によっては生命にかかわる難病である。1年半ほどの完全休養を経て、復活の記者会見を行った徳永だったが、その声は弱々しく、マスコミを含めて「完全復帰は難しいのではないか」という見方が大勢だった。

 医師からは「声を出してはいけない」と忠告されている。ステージに立つメドはない。しかし徳永は諦めることなく、楽曲を作り続けた。そんな中で、音楽に対する考え方に変化が生まれたという。「病気をする前は我がために歌っていたけど、今はより多くの人に聴いてもらいたい。僕の歌う言葉とメロディがその人のプラスアルファの命になったらいいな、と。そう思って、時代の名曲を歌おうと思ったんです」(2007年12月『中居正広の金曜日のスマたちへ』での発言)

 そのような経緯の後に誕生したのが、2005年の『VOCALIST』第1作だ。中島みゆきをはじめとする女性アーティストの名曲を丁寧に歌い上げた同作は、シンガーソングライターとしての徳永を愛するファンからの反発もあり、当初はセールスも芳しくなかった。しかし第2弾、第3弾と作品を重ねるうちに評判が高まり、日本の音楽シーンに一大カバーブームを巻き起こすことになる。

 ドン底から不死鳥のように蘇った徳永英明。後編では、冒頭のブログ書き込みへの推察を含め、『VOCALIST』シリーズの変遷と音楽的功績について振り返る予定だ。

(文=編集部)

■リリース情報
『VOCALIST 6』
発売:1月21日
価格:¥ 3,240

〈収録曲〉
1. さよならの向う側
2. Woman“Wの悲劇”より
3. サンキュ.
4. 寒い夜だから・・・
5. 桜色舞うころ
6. 風立ちぬ
7. スローモーション
8. やさしい悪魔
9. 想い出のスクリーン
10. かもめが翔んだ日
11. 告白
12. 春なのに
13. ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ

最終更新:2015/01/16 09:00
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